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2015年08月23日16:11

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生理をこさせる方法

患者クレームの話と産婦人科コミュ質問部屋で出た話題の解説。

「生理とは何か」、子宮内膜がはがれて出血と一緒に出ること。
どうしてはがれるのか、といえば排卵後一定期間がたっても受精卵が来ないから。
子宮内膜というのは受精卵が育つベッドなので、
排卵後2週間たっても受精卵が到着しないと
「卵子は受精できなかった」ということになり、廃棄処分になる。
これが生理、生理がくると次の排卵の準備がはじまる。

子宮内膜を育てるのは女性ホルモン(エストロゲン)で、
内膜を成熟させるのが黄体ホルモン(プロゲステロン)。
成熟しきった状態でホルモンを止めると生理がくるので、
ホルモン不足で生理が来ない場合には、
まずエストロゲン剤を使用して内膜を育て、
次にエストロゲンとプロゲステロンの合剤を使用して成熟させ、
薬をやめる。するとやめて数日(最長1週間)以内に生理がくる。

同じホルモン不足でも、排卵が起きなくて生理がこない場合。
エストロゲンは本人卵巣からある程度出ているので子宮内膜は育っていることが多い。
これを超音波で確認後、プロゲステロン剤単独で使用する。
プロゲステロンは排卵後しか体内で作れないホルモンだから
無排卵の場合は「内膜は育っても成熟しないのではがれない」状態にある。
プロゲステロン剤を数日使ってやめると、やはり数日以内で生理がくる。

いわゆるピルはエストロゲンとプロゲステロンの合剤で、
ふたつがいろんな割合で組み合わせてあるので何種類もある。
そもそも「排卵させない」(から避妊できる)ための薬だが、
エストロゲン、プロゲステロンの薬なんだから、
数日飲んで休薬すると生理がくる。

同じ無排卵で無月経でも、こどもがほしい場合。
排卵誘発剤を使う。
とにかく上記の方法で1回生理を起こし、生理5日目から5日間内服。
すると生理後2週間から3週間のあたりで排卵し、
排卵すれば排卵後10日から14日で生理がくる。
ただしこの場合は妊娠したいんだから、生理きたら「失敗」だけど。

内服薬でエストロゲン剤、プロゲステロン剤は数種あるし、
注射剤もあるし、2種合剤(ピル)も十数種ある。
そのうちどの方法で「生理をこさせる」かは
患者が何歳で生理のこない理由(こさせたい理由)は何で、
どういう体質で他に関連の病気があるとかないとか、
生活環境とか体重の増減とかも関係する。
すっごく高度な知識が必要な上に薬がきくかどうか何周期かかかることあり。
思わぬ副作用もいろいろ出ることあり。

「生理こないんです」
「生理こさせたいんです」
とか気軽に患者はいうけど、うけおうほうにはそれなりの苦労もあるのです。
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