BS日テレNNNドキュメント。
大陸からのいわゆる「引き揚げ」の途中で妊娠して、
帰国してから「救護所」と呼ばれる施設で中絶手術を受けた女性たちの話。
実際に中絶を受けた女性の話はない。
施設で働いていた助産師、医師、資料による。
引き揚げ場所になった港近くにはきっと、どこにもこういう施設があったのだろう。
当時、人工妊娠中絶は法律違反で、「堕胎罪」という犯罪になる。
この中絶は国の認可(黙認)のもとに国の方針として行われた。
記録によれば、女性たちの妊娠理由は
引き揚げ途中での強姦。
相手はソ連、朝鮮、中国、台湾。必ずしも兵士だけではない。
引き揚げ途中の道をとおせんぼされて、仕方なく、という話もあった。
16歳の少女が連れていかれそうになり、自分が身代わりになった27歳女性もいた。
健康な若い女性が、たとえ強姦であってもセックスすれば妊娠する。
待ち焦がれた母国の港が見えたときには腹がでかくなっている。
福岡と長崎の施設の話が紹介されたが、
どちらも開設から数か月で200人以上の女性を処置している。
3,4か月までなら「下から」行い、それ以上の場合は「上から」すなわち
帝王切開で行う。
子供が声を上げることがないように、濡らした布をもってかまえ、
または頭が出た瞬間に機械で頭を割って脳みそを流しだす。
目に見えるようだ。
この手に感触が伝わるようだ。
きのどくに、そんな言葉だけで足りるとはとても思えない。
自分がもしその場にいても、犯罪だとか考えもせず、
毎日毎日半熟の赤ん坊を子宮から取り出す処置に没頭したことだろう。
処置後に亡くなった女性はいないのだろうか。
その後こどもができなくなってしまった人はいるだろうか。
救護所は秘密裡に運営されていたし、救護所にいた女性のその後は調査されていない。
それでもこれも、日本の戦後史であることは間違いない。
追記:
これらの妊娠は文書では「不法妊娠」と呼ばれているそうです。
不法っていうなら合法もあったのかなぁ。
合法妊娠なら中絶は堕胎罪になるけど不法だとならないのかなぁ、とか考えてしまった。
2番目の追記:
強姦や母体の貧困、疾病による理由で中絶できる、という法律ができたのは
昭和23年のことだそうです。
いわゆる「優生保護法」ですね。
優生保護法にのっとらない中絶は現在でも堕胎罪になります。
ちなみに平成8年に「母体保護法」という名前になりましたが、
母体保護法では中絶してもよい条件がかなり厳しくなっています。
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