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2015年07月31日22:59

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レトロプロブレムの世界(11-3)

(4) C.C.L.Sells (The Problemist 1976, 2nd Recommendation)
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SH#5 (2+8)

(4)は、先行作である(5)を除けば、シリーズヘルプに「相手の着手も考慮に入れる」という原理を導入した最初の作品である。「全ての着手は、途中の局面を考慮したとき合法でなければならない」(C.C.L.S.)
4.Kf8? 5.Qe8?? Qg7#は誤解である。何故なら、4.Kf8?と指した後の局面は白番であり(訳者注 直前の白の手が存在しないから)、5.Qe8 ??はillegalだからだ。作意は3.Kf3 4.Qg2 5.Bg4 Qd3#となる。

(5) G.Yacoubian(Diagrammes 1976)
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SH#11 (7+5)

(5)も(4)と同様に進行する。4手目Pc4xb3の後、5.bxa2?? 6.Rb3 9.g1 =B 11.Bb2 Sc2#、そして5.b2! 6.Rb3 9.g1=Q 11.Qxa2 Sc2#という2つの手段が見える。このうち前者は10.Bd4?の直後に合法な白の着手が存在しない為、誤解となる。

(6) D.Smedley (The Problemist 1979)
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SS#11 (5+5)

(6)においては、上の原理は失敗を避ける為ではなく作意の限定の為に用いられている。1.Kxe7?や1.Sxh7?は、黒がKf8-g8とする可能性を奪ってしまう。作意は1.Sxf7! 2.Qh5 3.S7g5 4.Sxh7! 5.Sf8 6.Sg6 7.Kxe7 10.Kh6 11.Sg5 Bxg7#となる。


2、定義について

まだ(5)しか知らなかった1979年に、私は“Diagramme”において異なった定義を提案した。
(1)SH#2:黒はH#1の局面を得る為に1手指す
(2)SH#n(n>2):黒はSH#(n-1)の局面を得る為に1手指す


 初形及び(n-1)手目の局面において、黒の着手は(白Kにチェックをかけてはいけないという慣習を含め)合法でなければならない。SH#nの重要なポイントは、チェスのルールを満たさなければならないという点であり、従って黒駒は白Kにチェックをかける位置に置いてはならない。(他の「慣習」はこの定義から論理的に導かれる)

 この後、我々はこの新しい定義によってどのような新しい道が拓かれていくのかについて議論し、これまでに発表されたシリーズヘルプの「実質的な」アンソロジーを提供する心算である。(続く)
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