mixiユーザー(id:10857363)

2015年07月22日23:06

289 view

プロパラを振り返る(135)

(セクションE)Helpmate

E52 V.Gurov(StrateGems 2002, 1st Prize)
フォト
H#2 3sols.(9+7)

1.Qxd1 Be6 2.Qxe2 Qxe2#
1.Rxc4 Sf2 2.Rxe4 Bxe4#
1.Sxd5 Qc8 2.Sxe3 Sxe3#

 いわゆるcyclic Zilahiで、3解の対照性は完璧。うまくできている。
 この作者にしては、珍しく力を抜いて作ったように見えるが、それでもこれだけのことを楽々とやってしまうなんて、いったいどんな力をしてるんだ。

(セクションF)Selfmate

F45 V.Nikoletic(Schach-Atkiv 2001, 3rd Prize)
フォト
S#3(12+8)

Selfmateのセクションは、びっくりするような作品はほとんどなく、いつもおなじみの顔ぶれに、バッテリー変換といったおなじみのテーマばかりなので、眺めていていささか飽きてしまう。
 というわけで、ここでは肩の凝らない簡単なものを選んでみた。

1.h4! zz
1...e2 2.Se4+ exf1=Q 3.3Sd6+ exd6#
1...exf2 2.Qxf2+ Ke4 3.f7 e6#
1...e4 2.Rg5+ Kxf6 3.Bc3+ e5#
1...gxf6 2.g4+ Kf4 3.Rxf6+ exf6#

 黒の3手目のmating moveで、Pe7が4通りに動く、いわゆるPickaninnyである。変化4通りにあまり統一感がないのが惜しい。


(セクションG)Fairies

G70 M.Caillaud(Feenschach 2001)
フォト
S#11 Grid Chess (8+3)

 いよいよ真打の登場。Grid盤を使ってどんな妙技を見せてくれるか、お楽しみといったところ。
 Grid盤では、着手は必ずどこかのグリッドを横切らなければならない。すなわち、問題図では、黒には指す手がない。
 白の狙いとしては、1.Rh7? Bxg6#? という筋。しかし今直接にこれを実行すると、2.Rd3!という受けがあって失敗する。もしRd1がRc1になっていたら…とそこで気付けば、あらかじめRの位置を変えるforeplanを考えることになる。作意は次のとおり。

1.Bb5! Ka6 2.Bf1+ Kb7 3.Rd3 Ka6 4.Rd2+ Kb7 5.Re2 Ka6 6.Rc2+ Kb7 7.Rc4 Ka6 8.Rc1+ Kb7 9.Bb5 Ka6 10.Bc4+ Kb7 11.Rh7 Bxg6#

 何気ないようでいて、まったく非の打ち所がない仕上がりである。特に、Rd1の軌跡、そしてBの往復は、すべてGrid Chessの特性によって限定されているところに注目してほしい。どうしてこういうフェアリーの本質を一瞬にして見抜けるのだろうか。図抜けた才能だとしか言いようがない。
 Caillaudも神戸での世界大会にやってくる。Caillaudに会える、というそれだけの理由で、世界大会に参加する値打ちは充分ある。なにしろ、生き神さまを拝める機会は、一生に一度あるかないかのはずだからだ。

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する