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2015年07月15日23:07

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プロパラを振り返る(134)

(セクションC)moremover

C115 M.Marandyuk (Pat a Mat 2003, Prize)
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#12(6+10)

 意外かもしれないが、初形で、白に邪魔駒がある。Re2だ。もしRe2がなければ、1.Be2! Rxe2 2.Sb5+ Kd3 3.Rd4#までである。これに気づくのが正解への第一歩。
 そこで、Re2を消すことを考える。1.Re3+?では、1...Rxe3!と取り返されてしまう。そこで白は、あらかじめRe8のラインを遮断しておく、いわゆるforeplanを用意することになる。
 作意を並べよう。

1.Sb5+ Kd3 2.Sd6+ Kc3 3.Rc4+ Kd3 4.Re4+ Kc3 5.Rexe3! fxe3 6.Rc4+ Kd3 7.Ra4+ Kc3 8.Sb5+ Kd3 9.Sa3+ Kc3 10.Be2! Rxe2 11.Sb5+ Kd3 12.Rd4#

 8手目からSを元の位置に戻しておくのは、8.Be2?だと8...Bd3!(9.Rc4,Sb5#の2手段を同時に受けた手)で失敗するからだ。Sa3の形にしてやれば、10.Be2!に対して10...Bd3としても11.Sb1+ Bxb1 12.Rc4#で詰む。
 foreplanの仕掛けとしては類例のあるものだが、すっきりできていて明快である。Re2が邪魔駒というトリックも、その跡地にBe2!と捨てることになるだけに、いっそうおもしろい。
 論理的な佳作。

(セクションD)Studies

D1 H.van der Heijden (Algemeen Dagblad 2003)
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Win (3+2)

 これも一目惚れの作品。
 勝て、と言われているからには、まず1.e5?とやってみよう。1...fxe5 2.g5 e4 3.g6 e3 4.g7 e2 5.g8=Q e1=Qと一直線に進めば、この後6.Qg3 Ke2でドロー。それでは反対側のポーンだとどうなるか、と考えてみても、1.g5? fxg5 2.e5 g4 3.e6 g3+でもっとひどいことになる。
 ということは、Kを動かす一手か。しかし1.Kh3?には1...Kf3!とされて、2.e5 fxe5 3.g5以下6.g8=Q e1=Qと成り合った形は先ほどと大差なく、やはりドロー。
 そこで作意は次のとおり。

1.Kh1!! Kf1!!(1...Kf3 2.e5 fxe5 3.g5 e4 4.Kg1! e3 5.Kf1 e2+ 6.Kxe2 win) 2.e5 fxe5 3.g5 e4 4.g6 e3 5.g7 e2 6.g8=Q e1=Q 7.Qg2#

 1.Kh1!!と自ら雪隠にもぐるのが信じられない手で、それに対して黒も1...Kf1!!とお返しするのがおもしろい。このおまじないをしておくだけで、なんと最後はチェックメイト。うまくできているものだ。
 今年イタリアの世界大会で作者に会ったとき、この作品にいたく感激したという話をしたら、たいへん喜んでいた。きっと2012年の世界大会のときには、奥さんと一緒に日本に来てくれると思う。
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