プロパラを振り返る(133）

　今日読んでいるのはプロパラ56号（October-December 2010）。残念ながら常設コーナーにはこれといった作品がなかったが、その代わり、若島さんがFIDE Album(2001-2003)の中から各セクション1題ずつ、気に入ったものを紹介するというコーナーがあったので、それを丸ごと引用していくことにしよう。

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（セクションＡ）#2　

A9 V.Shanshin(Memorial C. Belliboni 2002, 1st Prize)

#2vvv (6+6)

1.Qf7?(2.Rg3(A), Rg5(B)#) But 1...Sxf3!
1.Qe6?(C) (2.Rg3 (A)#)
1...Sxf3/Bxf5 2.Rg5(B)/Qxf5# But 1...Bf2!
1.Qe2?(D) (2.Rg5(B)#)
1...Sxf3/Bxf5 2.Qxf3/Rg3(A)# But 1...Be3!
1.Sf4!(2.Qh5#)
1...Kxf5/Kxf3 2.Qe6(C)/Qe2(D)#

　見た瞬間、一目惚れしてしまった作品。pseudo le Grand, Dombrovskisといったパターンプレイになっているが、そういう知識がなくても楽しめるはずだ。見てのとおり、対称性が強いのが唯一の難点と言えるかもしれないが、flight squareを3つも与える1.Sf4!!というキーの素晴らしさがそれを補って余りあると思う。

（セクションＢ）#3

B109 B.Lindgren(Probleemblad 2002, 2nd Prize)

#3(14+8)

1.Bh2!(2.gxh8=Q --- 3.Qhxd4#)
1...Rg8 2.fxg8=S ---/Sc8/Bf5 3.Sxe7/Bc4/Qxf5#
1...Rf8 2.Qf3+ Kxe6 3.gxf8=S#
1...Re8 2.Re5+ Kxd6 3.fxe8=S#
1...Rd8 2.Qf3+ Kxe6 3.cxd8=S#
1...Rc8 2.bxc8=S Sxc8 3.Bc4#
1...Rb8 2.Re5+ Kxd6 3.cxb8=Q#
1...Ra8 2.bxa8=S Sxa8 3.Bc4#
1...Bd3 2.Bxd3 --- 3.Qe4#

　先頃亡くなったBo Lindgrenを追悼する意味で選んだ。
　Bo Lindgrenお得意のpromotion物。ごらんのとおり、Sに成るunderpromotionが変化で６通りという大盤振る舞いだ（1...Rb8の変化が画竜点睛を欠いたのはまことに残念）
　この狙いと構図の若さというか、大胆さは、感動的ですらある。彼の作品を見ていると、アフリカの草原でライオンが獲物を追いかけているような感じがいつもする。どれくらい歳をとっても、やはりプロブレム作家はこうでなくちゃ、と思わせるのがBo Lindgrenという人だった。