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2015年07月01日22:15

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プロパラを振り返る(132)

 今日読んでいるのはプロパラ55号(January-March 2012)。グリッド盤を用いたレトロが載っていたので、これを紹介しよう。

(261)若島 正(Problem Paradise 55 07-09/2010)
フォト
The shortest path of wK?
Grid chess (15+14)

Grid Chess:盤面を16に分割したグリッド盤を使用し、指し手は必ずどこかの境界線を越えなくてはならない。即ち、同じ区域内での移動は禁止。チェックについても同様のルールが適用される。

solution : e1-c1(0-0-0)-b2-c3-b4-c4-d5-e5-f4-g3-h2-h3

 白Kが初形位置からh3に辿り着く迄の最短経路を求めよという問題。
この配置だと、最初にKd1と指してもまたe1に戻らざるを得ない。よってKの初手はキャスリングする他ない。では、実際に起こったのは0-0だろうか、それとも0-0-0だろうか。
 もし0-0が可能ならばg1からf1-g2-h3と行けて早いのだが、これは不可能である。何故なら、黒Pf3はPg4xf3と動いているが、一方白Pg4はダブルステップしている。この2手を比べると黒の駒取りの方が先なので、白がキャスリングしたときには既に黒Pがf3に居り、結局白Kはg2を通過できないということになる。従って、白のキャスリングは0-0-0と決定する。

 ここで白Ra2に着目しよう。このルールではRa1-a2という手は禁手なので、この白Rは例えばa4あたりからRa4-a2と入る必要がある。ということは、a3とb3の白はcross captureしていなければならない。つまり、Pa2xb3としてからRがa2に入り、その後Pb2xa3と指したのだ。白の0-0-0はこの後なので、この白Rは元々h1に居たものであり、逆にRh1にいる白Rは元々a1にいたものだということが分かる。(白Rのsibling)
 キャスリングの後の白Kの軌跡はc1-b2-c3-b4となることが明らか。すると、白Kがb4に到達してからPa7-a5が指されているので、白Pがb3で取った黒RはQ側のものではなくK側のものだったことも判明した。(黒Rのsibling)

 b4以降のKの軌跡については、特に説明の必要はないだろう。作者の言葉によると、創作のきっかけは右下の形でcross captureが証明できることを思いついたことなんだそうだ。それ自体は特にスゴイ発見というものでもないが、そこからロジックを組み立て、双方Rのsiblingを絡めて作品に仕立ててしまうところがスゴイ。流石は若島さんだ。
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