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2015年06月30日22:39

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L.Cerianiレトロプロブレム傑作選(20)

(19) Luigi Ceriani(Europe Echecs 113 06/1968)
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黒から指し始め、奇数手で局面を完全に復元せよ (14+14)

 奇数手かけて局面を復元する、所謂Ortho-reconstruction。黒から指し始める場合は黒が奇数手指しているので、tempo moveも黒側にある。本作の場合、tempoを失うことができる黒駒は明らかにBf2しかなく、その為にはd2に遮蔽駒が必要なこともすぐに分かる。勿論その駒はSg3だ。
 だが、実際にこれを実現するには少々手間がかかる。というのは、黒Sがd2に入るにはf1を経由するしかないが、このままではどうしても白Bと干渉してしまう。まずはどうにかして、黒側が1手のずれを発生させなければならない。その為に利用するのは、左下のQとBだ。黒Sをb2に運ぶルートはg2-e1-d3-b2というものであり、これは現在の状態でも十分通ることができる。ではまず、ここまで手を進めてみよう。

1-7.Sh5-g7-e6-d8-f7-h6-g4 Bg2 8.Bg3 Bf1 9.Sf2 Bg2 10.Sd3 Bf1 11.Sb2 Bg2

(図1)
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 さて、ここが問題の局面だ。直接Sでtempoを失うことはできないが、代わりにQとBを3手動かすことで、白Bとのずれを生み出すことができる。この準備工作によりparityが崩れ、それによって黒Sをd2に挟むことが可能になるのだ。

12.Qa1 Bf1 13.Bb1 Bg2 14.Qa2 Bf1

(図2)
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 もう後はお分かりだろう。今迄の道筋を逆に辿れば、初形において白Bをf1からg2に移動した局面が得られる。(黒のQとBが位置交換しているので、厳密には同じではないのだが) 

15-23.Sd3-f2-g4-h6-f7-d8-e6-g7-h5 Bg2 24.Bf2 Bf1 25.Sg3 Bg2

(図3)
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 こうなればd2に侵入するのは容易く、当初の目標通りBを使ってtempoを失うことができる。

26.Sf1 Bg3 27.Sd2 Bh4 28.Be1 Bf1 29.Bg3 Bg2 30.Bf2

(図4)
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 これで黒がtempoを失うことに成功した。後はもう一度黒Sをb2に持って行って黒QとBの位置を元に戻せばよい。
 標語的に表現すると「tempoを失う為のtempo」となろうか。二段階のロジックを持つ構成が、如何にもCerianiらしい。

(尚、Databaseには「白先もある」と書かれていたが、その場合は黒Sd2,Be1の形を作って白Bh4がtempoを失う他ない。しかしBf2の瞬間に黒の手がないので、これは論理的に不可能である)


(20)Luigi Ceriani(Europe Echecs 120 01/1969)
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局面をほぐせ(12+15)
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