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2015年06月10日22:48

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プロパラを振り返る(131)

 今回もJapanese Sake Tourneyからの作品紹介です。あのCaillaudの作品が2作もありますよ!

(257)Borislav Gadjanski(Crete 2010 Sake Tourney, 6th Prize)
フォト
H#2 2sols.(4+7)
Half-check Chess

1.Qc4(+) Ke4(+) 2.Qc3(+) Sg3#
1.Qg3(+) Kf3(+) 2.Qe1(+) Sb4#

 小粒ながらも対照性は完璧。愛すべき小品と言えよう。

(258)Michel Caillaud(Crete 2010 Sake Tourney, Special Prize),version
フォト
H#2(11+10)
Half-check Chess

1.Se4(+) 0-0(+) 2.c1=S exf8=S#

 Caillaudお得意のレトロ入りヘルプ。早速局面の解析をしてみよう。
まず、なくなった駒はそれぞれRBBSS/BPPPPP。また、白側の駒取りは全てPによるものだ。一方黒のd,f,g,h筋のPはいずれも成っていて、Pb6を含めると最低4枚駒取りをしている。白のBf1は原型位置で取られているので、黒の駒取りもこれで尽きている。
 さて、手順中に白はキャスリングをしているので、f,g,h筋の黒Pはf1で成っている筈。するとPf2の状態でhalf-checkになるので、次にfull-checkをかけない為にはS成しかない(B成だと動けなくなる)。d筋の黒Pも同様で、もしd1でBに成っているとこれを取ってくれる白Pが存在しないので(白枡で駒取りをしているのはPc2xb3のみ)、やはりS成に確定する。更に本手順中の2つのS成を加えると、実に6枚ものS成が実現しているのだ!
 ちなみに本作には隠し味として、1.cxb1=B exf8=Q 2.Be4 Qxf7#というOrthodoxのH#2も添えられている。流石はCaillaudだ。

(259)Mark Erenburg(Crete 2010 Sake Tourney, 6th HM)
フォト
H#2 2sols.(6+2)
Half-check Chess

1.Kb5 Qxa4(+) 2.Kxa5 Sd5#
1.Kb4 Rxa4(+) 2.Kxa3 Sd1#

 初形ではQa3とRa5のどちらがhalf-checkでどちらがfull-checkか分からないという奇妙な状況が生じており、それを決定するのが黒の初手という訳。
half-checkというルールの特性を活かした、論理的な面白みがある。

(260)Michel Caillaud(Crete 2010 Sake Tourney, Special HM)
フォト
H#2
a)Orthodox b)Half-check Chess

a)1.Sb3!(Sxe2?) Sxe4!(Sg4?) 2.Sd4 Kd2#
b)1.Sd3(+) 0-0-0(+) 2.Sdf2 Re1#

 双方の取られた駒はそれぞれQBBSSP/QBBPP。白側の駒取りはPe3,e5で2枚、それに不動のBf8を加えて3枚が確定。一方黒側の駒取りはPh2がc筋のものだったので、これだけで5枚。それにPh7xg6を加えると、黒の駒取りはこれで全てだ。従って、a,b筋の黒Pは成ることができないので、直進途中で取られていることになる。白の駒取りもこれで尽きている。

 さて問題は、白がキャスリング可能かどうかだ。黒Kの軌跡に着目してみよう。黒Kはどのようにしてg1へ到達したのだろうか?まずOrthodoxの場合から考えてみよう。
 この場合、黒Kがh2から侵入できれば白はキャスリングできる。しかし、黒Pが白Rを取っていることを考慮すると、実際にはこれは不可能。つまり、黒Kはf2を経由してg1に到達していたのであり、これより白の0-0-0はillegalということになる。
 しかしhalf-checkならば、黒Kがh2から侵入することが可能である。即ちRg1/Kh2の局面において、Rh1(+) Kg1! Rh2とすればよいのだ!従って、こちらではキャスリングを含む手順が作意となる。
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