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2015年06月02日23:03

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L.Cerianiレトロプロブレム傑作選(16)

(15) Luigi Ceriani (Europe Echecs 82 10/1965)
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白が2手で詰めることは可能か?
初形で配置されていた白Bはどちらか? (12+10)

 白のなくなった駒はQRRPの4枚で、黒のなくなった駒はQRRBSPの6枚。また白の駒取りはe3で1枚、あとPd4とe5で4枚取っている。一方黒は、f6で1枚とPb6,c5で2枚取っている。更によく観察すると、Be7とBh2は同色Bであるから、どちらか一方は成駒である(よって、正確には白のなくなった駒はQRRBの4枚ということになる)。これはa筋の白Pが1回駒取りをしてb8で成ったものだから、白の駒取りはこれで尽きている。また、白が取った黒駒にはh筋の黒Pも含まれなければならないから、このPもまたg2で一度駒取りをしてからg1で成っている筈。これで双方の駒取りが全て判明した。更にこの黒Pの駒取りはBf2,Pg3,Ph2/Ph3の形で起こっているので、この駒取りよりもPf2xe3の駒取りの方が早いことも分かる。

 ではここで、最初の問いを考えてみよう。現在白の手番としてよいのだろうか?(もしそうならば、1.Sxf7+ Kxh7 2.Sf8#までの詰となる)
ここまでの考察から、もし直前の着手が黒だとすれば、それはPb7-b6以外あり得ないことになる。以下ではその仮定に基づいて話を進めていこう。
 まずは白Pの成に着目してみよう。b8で成ったBがそこからe7又はh2に辿り着く為には、b,c筋の黒Pはb7/c5という形を取らなければならないことがすぐ分かる。ということは、a筋の黒Pが2回駒取りをしてc5に行き、b8の成Bを逃がした後でPb6と指したということになる。
 次に考えるのはd4,e5の2枚の白Pについてだ。どちらがb筋のPだったのだろうか?Pd4がb筋のPだったとしよう。すると黒がPc5とする前にPxc3としてBc1を脱出させる必要がある。ところが、b8で成ったBが出てくるには黒がPc5としていなければならず、そうするとこの白Pがc3でとどまっても、d4に行ったとしても、成Bがe7又はh2に辿り着くことはできない。ということは、白Pe5はb筋から3回駒取りをしてそこに来たということになる。この場合は、

Aコース
(1)Pb2の状態でまず成Bをd6まで運び
(2)Pb2がc3-d4-e5と3度駒取りをし
(3)Bc1がc1-b2-d4-e3-f4-g3と動いて
(4)Pf2xe3としてからBf2とする

または
Bコース
(1)Pb2xc3としてBc1をd6に運び
(2)Pa7をc5まで運んで成Bを作り、
(3)Pc3がd4-e5と2度駒取りをし
(4)成Bをg3まで連れていき
(5)Pf2xe3としてからBf2とする

という順序で、無事2枚のBを目的地まで送り届けることが可能となる。
 この手順をよく見ると、ここまでの白の5度の駒取りは全て黒枡のみ。しかし白は黒のBc8も取っているのだから、これはd3で白Pに取られたと考えるほかない。そしてこのように手順が進んだ後でh筋の黒Pが成ったとしても取られることはないから、この成駒は出題図でg8にいるSであることが分かる。更に言うと、他の黒Pの駒取りが全て黒枡なので、この黒Pが取ったのは白Bf1であることも分かる。

 さて、このように手順が進んだとしよう。すると、h筋の黒Pが白Bを取るまで白Rh1が動けないことに気付くだろう。これが取られた場所はf6しかない。するとその直前の配置は、例えば以下のようになる。

フォト

 e7に入る直前の白Bはd6にいなくてはならない。ということはPd7-d6と戻さなくてはならず、その為にはBc8をd3でuncaptureしなくてはならず…という論理の連鎖からこのような配置になるが、これだと黒Qが原型位置で取られたことになり矛盾。(かといって、Qd8を入れてみても、既に白は5回駒取りを済ませており、後はBc8をd3で取るだけなので、黒Qを取れる白駒はない)以上より、現在白番ではあり得ないということが証明された。
 あとは実際にやってみれば、Aコースは不可能であることが明らか(Pb2のままで黒Pa7に白QRを取らせることは不可能)。一方、Bコースは実現可能である。よってオリジナルのBはe7ということになる。


(16) Luigi Ceriani (Europe Echecs 86 03/1966)
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a筋の黒Pの初手は?(14+14)
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