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2015年05月26日23:12

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L.Cerianiレトロプロブレム傑作選(15)

(14) Luigi Ceriani (Europe Echecs 76 04/1965)
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局面をほぐせ (13+14)

 双方のなくなった駒はそれぞれRRP/BPであり、白の駒取りはb,g筋の白Pによるもので尽きている。従って白Pc6は直進しており、これより黒Pb3,c5が一枚ずつ駒取りをしていることが分かる。するとa筋の黒Pは直進して成ったということになるが、これを白Pでは取れない(左側の配置ができるより前に、右側の配置が既にできていなければならないから)ので、黒の成駒は今も盤上に存在する。それがSd8であることは明らか。この成を戻すことができれば、Pa3xb4以下局面をほぐすことができる。

 まず普通にSd8をa1に持って行ってみよう。その場合、1.Se6-d8 Pf3-f4...と黒はSを動かし、白はその間Pを戻すことになるが、白に可能な手数は最大6手で、一方黒Sはa1で成を戻してPa4の形を作るのに9手もかかる。これでは全然駄目である。他にtempo moveに使える白駒もないし、どこで白の手を増やしたらいいのだろうか?
 ここで、黒に後1枚駒取りが残っていることを思い出すのが肝心である。つまり、黒Sが戻る途中、e筋で白Pをuncaptureすればいいのではないだろうか?ではこの線でやってみよう。

1.Se6-d8 Pf3-f4 2.Sf4-e6 Pf2-f3 3.Sd3-f4 Pg3-g4 4.Se5-d3 Pg2-g3 5.Sd3xPe5 Pe4-e5+ 6.Se1-d3 Pe3-e4 7.Sc2-e1 Pd3-d4 8.Sa1-c2 Pd2-d3 9.Pa2-a1=S ???

(失敗図)
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 まだ白の手が足りない。しかも2手も!(白Bをf1に戻してないので、Pe2-e3とはできない)しかし、もう手数稼ぎの手段は尽きているように見えるのだが…?
 ここで、一見何の役にも立ちそうにないBa7やQe8がこの足りない手数を稼ぎ出すのに使えるとすぐに分かる人は、相当レトロ解析に熟達した人だろう。作者の用意した奇想天外な解決策は、以下のようなものだ。

Retract: 1.Se6-d8 Pg3-g4 2.Sc7! Bb8-a7 3.Sa6-c7! Ba7-b8+ 4.Sb8-a6 Pg2-g3 5.Sd7-b8 Qd8-e8 6.Se5-d7 Qe8-d8+ 7.Sd3xPe5 Pe4-e5+ 8.Se1-d3 Pf3-f4 9.Sc2-e1 Pf2-f3 10.Sa1-c2 Pd3-d4 11.Pa2-a1=S Pd2-d3 12.Pa3-a2 Pe3-e4 13.Pa4-a3

(成功図)
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 黒Sによる左上での旋回飛行は無意味に見えるかもしれないが、実はBやQを動かすことで白Pの動きを遅らせる効果がある。結果として白に2手の猶予を与えることになり、これでようやくa筋の黒Pの成を戻すことに成功した。後は最初に述べたとおり、Pa3xSb4以下左側からをほぐしていけばよい。

 同様の筋の作品をもう一作引用しておこう。(本作を見た後だと、かえって悩まされるかもしれないが)

(14-a) Luigi Ceriani (Europe Echecs 82 10/1965)
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局面をほぐせ (12+15)

 今回の作品は、いつにも増して繊細で緻密なロジックの積み重ねが必要です。是非チャレンジしてみて下さい。

(15) Luigi Ceriani (Europe Echecs 82 10/1965)
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白が2手で詰めることは可能か?
初形で配置されていた白Bはどちらか? (12+10)

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