人間の卵子の寿命は４０年

５０歳すぎても生理あるから妊娠できるよね？
いえ、妊娠はできません。

日本人女性は世界で一番の長生き、だから生理のある年月も長い。
１０歳ころ生理がきて５０歳すぎまでふつうにある。
しかも子供の数が少ないので、一生に４０年は生理がある計算になる。
ワシが学生時代に隣の机にいたイラクからの留学生は
「お母さんが心配だから早く帰国したい」と言っていた。
当時イラクでは女性の平均寿命は４２歳くらいだったから。
それから見たら、日本人女性の生理ある期間って
「ホントに人間？」って思えるほど長い。

ただし、生理があれば排卵しているから妊娠できる、という意味ではない。
生殖細胞の寿命は生物によって決まっている。
医療とか栄養状態衛生状態でどれだけ「本体」の寿命がのびても
生殖細胞の寿命は変わらない。
人間女性の卵子（卵細胞）の寿命は、およそ４０年。
３５年すぎたあたりから卵胞閉鎖、つまり卵細胞の死滅がはじまる。
４０年すぎた卵巣切片を顕微鏡で見ると、排卵可能な卵胞はほとんど見えない。
たまーに排卵しても、卵子自体の劣化により受精能力が失われている。
たまーにたまーに受精しても子宮に着床する能力の劣化により、
着床しない。
たまーにたまーにたまーに着床しても、細胞分裂がうまくできず
初期流産率はとても高い。

卵子がないならどうして生理がくるのよ？と思うかもしれないが、
生理がくるのは「女性ホルモンがでている」ことの証明であって
排卵している証明ではない。
そして女性ホルモンは卵子からでているのではない。
女性ホルモンというとごっちゃになるから「エストロゲン」というけど、
エストロゲンは卵子じゃなく、卵子を包んでいる細胞がつくっている。
包まれている中身の卵子がダメになっても
包んでいる卵子周囲の細胞にはまだエストロゲンを作る力がある。

４０歳すぎたらこどもはできにくい。
そんなこと、自分はそれこそこどものころから知ってた気がする。
だって周囲の、小さい子のいるお母さんみればわかるから。
少子化時代の今、妊娠している人間の数が減った今、
４０過ぎると妊娠しにくいなんてことを
きちんと世間に説明しなくちゃダメになってしまったわけだな。

自分がすごーく昔の人間みたいな気がする。
…まあそうだけどさ。