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2015年05月09日22:42

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レトロプロブレムの世界(6-2)

(3) A. Hazebrouck (Sahmaty v SSSR 1978, 1st Prize)
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#1 (12+11)

 最近では、彼は主に数枚のSを用いたRetro-oppositionというテーマで創作している。(3)では、局面をほぐすためにはd7-d6と戻す必要がある。白Bd8はh8で成ったものであり、同様に黒Bb1はf1で成ったものである。一方、Pc4(またはc5)を戻すことを考えると、これはa7xb6xc5と黒枡で2回駒取りをしていることになる。(訳者注 白Pb5の軌跡を考えてみれば分かる)従って、白Bf1は黒Pを成らせるために原型位置で取られている。これらの観察を元に、我々は以下のような局面を想定することができる。

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 ここから1.Sa7 Rc6 2.g3 d6 3.g4 Bf5 4.gxf5 g4...7.f8=S g1=S 10.Se6 Sd1 ...15.Sf8 g1=S...18.Se6 Sd5 19.Rd7+ Sc7 と進めることにより出題図を得る。つまり出題図は白番であり、従って 1.Sxb2#ではなく1.Sc8#が正解となる。主題の複雑さを考慮すれば、驚くほど効率的な配置の作品であると言えよう。作者はこのテーマを更に発展させており、最近ではDie Schwalbe誌に5枚のSによるRetro-oppositionというセンセーショナルな作(R.16)を発表している。

(4) A. Hazebrouck, R. Diot (Sahmaty v SSSR 1980, 1-2 Prize)
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#1 (13+12)

 この記事を終えるにあたって:(4)はSahmaty v SSSRにおいて又しても最優秀作に選ばれた!共作はこのフランス人作家にとっては珍しいことだ。ここで彼は、Retro-oppositionのスペシャリストであった故Roger DIOTと協力している。局面をほどく為には、まず黒Bg1をどかしてからRg1-d1とし、f1に何か駒を挟んでKe1-f2と戻さなくてはならない。また、前もってtempoの為にa筋の白Pも戻す必要がある。それには以下のようにすればよい。
1...f4xSe5 2.Sc6 Re1 3.Sb8 Rd1 4.Sa6 Re1 5.Sx4xPa6 Rd1 6.Sc2 Re1 7.e7-e6 (Retro-oppositionの為の、黒Sと白Rによるthematic tempo) Rd1 8.Se1 a5-a6 9.Kf1 d3-d4 10.Bb6 f3-f4 11.Kf2 a4-a5 12.Sc2 Re1 13.Se3 Rg1 14.Sf1 a3-a4 15.Ke1 a2-a3 16.Rf2 と進めれば、これで局面をほぐすことができた。つまり出題図は黒番なので、1.Qxg2#?ではなく1.Rxh2が正解となる。実に洗練された作品である。
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