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2015年04月20日22:49

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新作発表(解答編)

 一週間前に出題した新作の解答は、以下の通りである。

フォト

図のあ〜しにそれぞれ駒種を対応させ、更に向き付けをして、先手が後手玉を1手詰にできるような局面を構成せよ。必要ならば、盤面を±90°又は180°回転しても良い。

解答

 まずは枚数の確認から。数えてみれば分かるように、盤面に18枚、そして先手の持駒として22枚配置されている。つまり後手の持駒は1枚もなく、全ての駒が盤面か先手の持駒となっている。
 持駒にあることから、「い〜く」はそれぞれ歩〜飛に対応する。(逆に、それ以外の文字は玉か、あるいは成駒に対応している)このうち「い」=歩は明らか。玉は2枚あることから「あ」または「こ」だが、「こ」は接触しているので玉ではあり得ない。よって「あ」=玉である。

 さて、ここで「さ」に注目しよう。これは成駒なので、どちらの成駒だったとしても、王手をかけていることになる。しかし、このままでは「さ」がどの成駒だったとしても合法な局面にはならない。(即ち、直前の着手が存在しない)従って、盤面の向きを直す必要がある。
 少し考えてみれば、盤面を時計回りに90°回転することで合法な局面が得られることに気付くだろう。つまり「さ」は、後手の桂が46から58へ跳んで成った成桂なのだ!(反時計回りに90°回転しても合法にはなるが、その場合は先手の桂が64から52に成り込んだことになり、現在後手番となるので、「先手が後手玉を1手詰にする」という条件を満たさない)
 これは先手玉に王手をかけている筈だが、「い」=歩だったので、68の「あ」が後手玉だと同時に両方の玉に王手がかかっているということになってしまう。(69の「い」は先手の歩なので)よって68の「あ」が先手玉で、48の「あ」が後手玉ということになる。また、「い」は全部で17枚あるので、「け」がと金であることも分かる。(36と38の「い」は、まだ先手の歩か後手の歩かは未確定)
 ここまでで判明した配置は、以下の通りだ。

(図1)
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 盤上に成桂は1枚しかないので、桂は3枚ある筈である。持駒と盤上の駒を足して3枚になるのは「え」しかない。つまり、「え」=桂である。又、金は盤上と持駒を合わせると必ず4枚になる筈であり、この条件を満たすのは「う」しかない。

(図2)
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 分析を続けよう。「こ」は2枚、「し」は3枚あるので、いずれも小駒成駒である。(持駒に飛と角が1枚ずつあるので、これらが馬や龍の可能性はない)「か」「き」「く」はいずれも盤上と持駒で2枚あり、「し」に対応するのは「お」しかない。つまり、「お」が香で「し」が成香か、または「お」が銀で「し」が成銀のいずれかである。すると「か」「き」「く」のいずれかが角であるが、配置を見ると角の可能性があるのは「き」しかない。更に、「か」と「く」はいずれも飛か香のいずれかである。まとめると
「お」=香か銀
「か」と「く」=飛か香
となり、これより「お」=銀と「し」=成銀、「こ」=成香が確定する。

(図3)
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 残ったのは「か」と「く」のみだが、一手詰の局面にするには「か」=香、「く」=飛、36の「い」=後手の歩、38の「い」=先手の歩とする他ない。以上より、全ての配置が確定した。

(正解図)
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 本作を作る直接の動機となったのは、A.FrolkinとA.Kornilovの以下の作品である。(この作品の詳細については、4/3,4/4及び4/11の私の日記を参照して頂きたい)

A.Frolkin, A.Kornilov(Rex Multiplex 6, 1983)
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盤面の向きを直し、各文字に駒種を対応させよ。それから更に駒を色分けせよ。更に最終手を決定し、2手詰にせよ。

 チェスの世界では成駒もQRBSのいずれかになるので、白黒の区別をしなければ文字種は6つで十分である。ところが将棋だと、最大14種もの文字が必要となる。また持駒があるのも、チェスとの重要な相違点だ。この種の問題を将棋に移植することは以前から頭にあったのだが、これらの違いをどのようにして問題に取り込むか、又と金、成香、成桂、成銀のように、表記は異なるものの駒の性能としては同じものをどのように切り分けるかが難しそうで、しばらくは手を付けずにいた。
 実際に作ってみようという気になったのは、成桂配置を思いついてからだ。これに加え「持駒にある文字は生駒である」という、言われてみれば当たり前の事実に気付いて、やっと「これは作れる!」と確信が持てた。当初目指したのは合法性のみを用いて局面を構成することだったが、流石にそれは無理のようだ。(盤面を回転させたり、小駒成駒を使ったりしなければできると思うが、どうしても成香〜成銀も使いたかったのだ)
「先手から1手詰にできる」という条件は、そういう意味で謂わば妥協の産物なのだが、推論過程を邪魔するようなものでもなかろう。勿論、これなしで向き付け可能ならそれに越したことはないのだが…。
 出来てみれば、単なる試行錯誤で解くようなものではなく、レトロプロブレムを解析するときのようなロジックを持った作品に仕上がったことで作者は十分満足している。

 最後になりましたが、メールで解答を送って下さったまささん、siriusさん、そして本作に挑戦された全ての方々に感謝したいと思います。みなさん、有難うございました!
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