つい先日、産婦人科コミュ質問部屋にもあった。
「妊娠に気づかず鶏レバーをたくさん食べていた」というやつ。
書き込みした人は、ネットなんかで調べてほぼすぐに
「今回はあきらめます」と自己完結していたけど、
医学的にいえば、食べていたのが「排卵から着床のあたりまで」なら
なーんにも問題がないと思う。
ただ、もしワシがこの質問に早い段階でこう答えていたとしても、
この質問者は「あきらめる」つまり人工妊娠中絶を選んだのではないかな。
何を言われてもおろす人はおろす、というのが
ここまで20数年産婦人科をやってきた感覚として、ある。
どうしても子供がほしくてやっと妊娠したなら
どんな子供でもほしい、のが普通だ。
妊娠してみたらレバーだの自分の年齢だのが急に気になるのなら
(年齢もレバーも「急に」出たことじゃない、その前からだから)
子供がほしくてほしくてずっと待ってた、わけじゃないだろうし、
それならおろすも生むもご自由に、っていうところだろう。
この出生前診断にはかなりの費用がかかる。
20万から50万、だったかな、施設によっても差があるけども
気軽に受けれる金額ではない、お金がない人には無理な検査。
お金に余裕のある人たちは手厚いカウンセリングと検査を受けて、
「何も問題のない」子を選択できる、まあ当たり前ですよね。
でも、染色体に異常なしイコール奇形なし、ではない。
多くの胎児奇形は染色体異常とは関係なし。
高齢妊娠では、染色体異常も起きやすいけど、染色体無関係の奇形も増える。
奇形、として超音波で出生前にわかるものだけじゃない。
視聴覚、つまり見えるか聞こえるか、みたいなのはある程度育たないとわからないし、
性格的ないもの、極端な場合は自閉症とか学習能力遅滞とか、
「生き物を殺したい」気持ちになりやすいかどうかとか、
そんなもんは染色体検査では絶対にわからない。
何の検査をしても、自分の都合のいい子供を選ぶことはできない。
…と自分は思っているので、この検査もまあ、やりたい人はやれば?くらいに考えている。
■陽性判定の167人が中絶 新型出生前診断開始1年半
(朝日新聞デジタル - 04月11日 00:32)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=3365993
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