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2015年04月08日22:31

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プロパラを振り返る(125)

 今日からは、プロパラ52号を読んでいきたいと思う。この号の「花沢正純作品集のために(3)」で扱われているのは衝立推理。その名の通り、衝立将棋を使った推理将棋のようなものだ。いくつか解いてみたが、感触はまさにプルーフゲームそのもの。その面白さを、是非読者の皆さんにも味わって頂きたいと思う。

 衝立将棋の基本ルールは既知とする。ここで使用されている記譜の表記の意味は、以下の通りである。

24飛/25飛:24飛と指そうとしたら反則だったので、指し直して25飛とした。
23歩成・歩:23歩成としたら、歩が取れた。
+:王手を表す。後手が先手の玉に王手をかけたときは(+)。
++:詰みを表す。後手が先手の玉を詰ましたときは(++)。
(87):87にいた先手の駒が取られた。

 では、早速取り組んでみることにしよう。

(1)花沢正純(カピタン33号 02/1986)

26歩、25歩、24歩、23歩成・歩(87)、24飛、28歩/84飛、87飛、
85飛/76歩、48玉、38玉、28銀・歩、27銀、18香、39金、33と+(33)、
59金、11角成・香、77飛(+)、48金左、(99)、88銀(89)、
34香、28玉/25歩、33馬、36歩・歩、87飛、15馬、37馬、28馬・歩(++)迄56手で後手の勝ち。

(56手目で先手玉が詰んだ局面)
フォト

 まず、この詰上がり図をよく見てみよう。これだけ守っているのに、先手の玉はどうやって詰まされたのだろう?論理的に考えると、最終手は一種類しかない。つまり桂打だ。これを目標として、手順を分析してみることにしよう。

 序はほぼ紛れるところはない。後手の初めての駒取りが8手目に87であったということは、後手も飛先の歩を突いてきたからであり、11手目の28歩が反則だったのは、そこに既に後手の駒があったからだ。また、この先の後手の(+)-(99)-(89)という一連の着手が88飛成-99龍-89龍だというのはほぼ明らかなので、12手目は87とが98に動いたものだと分かる。ここまでで局面は以下のようになっている。

26歩、84歩、25歩、85歩、24歩、86歩、23歩成、87歩成、24飛、28歩、
28歩/84飛、98と、87飛、86飛、85飛/76歩

(15手目の局面)
フォト

 ところが、ここから急に後手の手が見えなくなる。88飛成〜89龍と指す迄の十数手、後手は一体何をしているのだろう?それを解き明かす為のヒントは、遥か彼方の43手目28玉が反則になっていることにある。つまりこれは、この時点で28に後手の駒の利きがあることを意味しているのだ!
 他の駒取りがないことを考慮すると、後手の駒が原型位置から出かけて行って28に利きを作るしかなく(桂を16に打っておいてもよいのだが、それだととどめの駒がなくなってしまう)、それが可能な駒は角しかない!
 以上の推論により、16手目以降の手順は次のようになる。

34歩、48玉、77角生、38玉、59角生、28銀、48角生、27銀、39角生、
18香、28角生、39金、42玉、33と、同桂、59金、45桂、11角成、35歩、
77飛、88飛成、48金左、99龍、88銀、89龍、

(40手目の局面)
フォト

 もうここまでくれば、解けたも同然。プルーフゲームと同様、双方の歯車が完璧に噛み合ったような手順の感触が非常に心地よい。

34香、19角生、28玉/25歩、52玉、33馬、36歩、同歩、37角生、87飛、
26角成、15馬、16馬、37馬、28歩、同馬、26桂迄56手。

(詰上がり図)
フォト

 間違いなく花沢氏は、プルーフゲームを念頭に置いてこれを創作した筈。そういう予備知識があったにせよ、とても一号局とは思えぬ作品のクオリティには、感嘆する他ない。
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