ミトコンドリアDNA

ミトコンドリアDNAで人間の祖先探しをする話が昔あった。
アフリカの某メスザルにいきつくとか。
ミトコンドリアDNA関連SFが映画にもなった「パラサイトイブ」だね
ミトコンドリアはもともと、人間の細胞にはいなかったとされる。
全く別種の微生物だったんだけど、
人間の進化のどこかで何らかの事情で人間の細胞に寄生した。
寄生ってのは寄生するほうにもされるほうにも事情がある。
寄生された人間細胞は、ミトコンドリアのおかげで
たくさんのエネルギーを使えるようになった。
（ミトコンドリアは細胞にとってはエンジンみたいなもの）
ミトコンドリアは、激しい自然環境と闘わないでも生き延びることができた。
で、今に至る、と。

人間とは別の生き物だったなごりで、
ミトコンドリアは自分独自の遺伝子、DNAをもっている。
数は少ないんだけど、遺伝子だから遺伝する。
ミトコンドリアの大きさとか形だけの遺伝ならよかったんだろうが、
宿主である人間のカラダにもミトコンドリアの遺伝情報が発現する。
心臓疾患みたいな困った情報も入っていることがある。
でも、ミトコンドリアがないと人間の細胞は生きてゆけない。
そのくらい、ミトコンドリアは人間と一心同体になった。
細胞からミトコンドリアを除去することは不可能。

じゃあ、ミトコンドリアに異常がない人の細胞をもらって
（この場合は受精卵）
細胞核だけ自分の細胞に入れ替えたら
「異常遺伝子をもつミトコンドリア」なしの自分の細胞が手に入るじゃん！
うわー、頭いいー。
これで、いわゆる「ミトコンドリア関連疾患」、
重症で治療法がなくしかも遺伝性の疾患を、なくすことができるじゃん。

とまあ、ここまではみんなが考えていたことだったのよ。
今回実現化するという。
結果にすごく興味がある。
異常情報は本当にミトコンドリアにだけあるのか？
そのミトコンドリアをもつ細胞核のほうにも
ミトコンドリアDNAに関連して動く異常因子があるのではないか？
（つまりミトコンドリアだけ除去しても無駄かも？）
結果は見てのお楽しみ。

この病気を持った人にとっては「お楽しみ」どこの話じゃない。
自分の子供、場合によっては自分自身が
「ミトコンドリア関連疾患」から解放されるかどうかだから。
やってみて、うまくいけばいいね。