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2015年02月20日22:27

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リトラクター入門(4-1)

(C-2) Proca型リトラクター

このタイプのレトロプロブレムにおいては、全ての着手(移動も、駒取りを戻す手も)が一方によって指される。従って、今まで使っていた括弧を用いた表記法はもう用いないことにする。

(13) Z.Proca (Chess Amateur 1924) dedicated to W.Pauly
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#2 Proca-Retractor (7+8)

(13)はこの種のプロトタイプである。Bb3がなければ、Rxb6までの1手詰だ。しかし、1.Kc4-d3?と戻すと1...Bc2-b3!!とされ、Rxb6の前に指す白の手がない!正解は1.Ke3xPd3!とする手で、黒にアンパサンc4xd3 e.p.+を強制する。これにより白の着手2.d2-d4が生まれ、黒Bb3の利きを止めることができたので1.Rxb6#で詰となる。Proca型の本質は、白がSやRではなくPを戻すことを選択する点にある。(SやRを戻しても、何も得られない)

(14) K.Fabel (Die Schwalbe 1966, 2nd Prize)
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#12 Proca-Retractor (semi) (2+16)

(14)は特徴的な策略を持っている。まず1.Ka8-b8として1...Rb7-a7+を強制する。(14枚の白駒は全て黒Pに取られているので、黒Rは白駒を戻すことはできない)続いて2.Ka7-a8 Rb6-b7+として、以下白Kはb7-b6-c5-c6-d5-d4-e4-e3-f2-f3と戻っていく。そして11...Rg2-f2+ 12.Kg4-f3としてf5#までで詰となる。
しかし話はこれで終わりではない。Proca型の非協力的な性格から、もし機会があれば黒が白を詰めることも合法的な防御である。よって、1.Ka8-b8 Rb7-a7+と戻した直後に黒が1.Rg8#とできる筈である。ならば本作には解が存在しないのか?この可能性を取り除くための明確な表現がある。reflexとsemi-reflexという分類に倣い、この場合は"semi-Proca"と呼ぶことにしよう。つまり、"semi-Proca"では黒が白Kを詰めることは許されないのだ。同様にして、"semi-Hoeg"というのも定義することができる。
 G.LAUINGERは、feenschach 49(March 1980)において定義についての詳説を書いている。そこでは"semi-Proca"という語は使われていないが、代わりのドイツ語の専門用語はやや堅苦しい。長らくProca-Retractorは不遇の時代を過ごしていたが、最近おもにドイツにおいて劇的な復活を遂げている。これは驚くべき才能を発揮し、多くの傑作を作り出しているDr. Wolfgang DITTMANNに負うところが大きい。

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