妊娠分娩が女性にとって大変な負担(精神的にも肉体的にも)であることは
いうまでもなく、だれでもわかっていることだと思う。
それでも、何らかの事情により自分に子宮がない、生めない場合
誰かに生んでもらわないと自分のこどもは持てない。
これも当たり前なことだ。
生んでほしい人のために喜んで妊娠してくれる人がいたら
それが一番いいと思う。
世の中には確かに、分娩に適したカラダを持っている方々がいる。
ただ、前のお産が楽だったからといって次回もそうとは限らないし、
実際には多産になればなるほど分娩時のリスクは上昇する。
誰かのために喜んで引き受けた妊娠分娩の途中で、
妊娠した人に事故が起きたらいったい誰がどういう気持ちになるだろうか。
自分はいっとき不妊症専門でやってきた立場として、
こどもがすごくほしいという人も見てきたし、
普通の産婦人科医として妊娠出産の危険な場面もたくさん見てきた。
だからどうしても「代理出産は禁止すべき」ともいえないし、
「代理出産を認めるべき」ともいえない。
お金を出せば代理出産してくれる国にいってビジネスとして依頼することも、
その国の女性の人権をふみにじる行為と考えることもできるが、
やむにやまれぬどうしようもない緊急避難とも考えることができる。
「子供がほしいけどできない」という気持ちがどれだけ大きく
人間を支配してしまうものか見てしまうと、
冗談でなく「飲めば子供がほしくなくなる薬」がもし開発できたら
不妊症の問題はぜんぶ解決できるのに、と思ってしまう。
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