Advanced Course of Retrograde Analysis(17)

第15問　以下の局面を一手未満で詰めよ


「一手未満で詰めよ」とは、出題図をen passantの途中、即ち「味方のPは動いたが、まだ敵のPを取り除いていない局面」とみなし、それがどこで起こったかを求めよ、という意味だ。

まず、最終手がPa5xb6 e.p.+だった場合。直前の局面は以下のようになる。
（図1）


g筋のPの重なり具合から、双方とも少なくとも1枚ずつPによる駒取りがあった。すると白／黒はあと2回／1回しか駒取りができないが、それだとa/d/e筋におけるPの配置は達成不可能。Pa5をc5にしても同様の議論によりillegalが示せる。

次に、最終手がPc5xd6 e.p.+だった場合。直前の局面は以下のようになる。
（図2）


この場合、白の駒取りがb/c/g筋で3回、黒の駒取りがg筋で1回あったことが分かる。すると黒はあと1回しか駒取りができないが、その駒取りはPe3によるもの。しかしそうすると最初e筋にいたPが成ることができず、矛盾。

では、最終手がPf4xe3 e.p.+だった場合はどうか。直前の局面は以下の通り。
（図3）


この場合は白の駒取りがb/g筋で2回、黒の駒取りがg筋で1回あったことが分かる。すると黒はあと1回しか駒取りができないが、その駒取りはPd5によるもの。しかしそうするとやはり最初e筋にいたPが成ることができず、矛盾。

ということは、最後はg筋でのen passantしかない。この場合、直前の局面は以下の通りだ。
（図4）


このときのみlegal positionとなる。実際、白のPd6/e4はいずれも直進していて、黒のPd5/e3が駒取りをし、h筋の黒Pが成ったとすれば全ての辻褄が合う。（e筋の黒Pは途中で取られたのだ）以上より正解は「白Pg4を取り除く」でした。

第16問　局面をほぐせ