mixiユーザー(id:10857363)

2015年02月17日23:06

426 view

L.Cerianiレトロプロブレム傑作選(3)

(2)Luigi Ceriani(Die Schwalbe 10/1969, 2nd Prize)
フォト
局面をほぐせ (13+12)

 まずは取られた駒の確認から。白はBSSの3枚、黒はQBRPの4枚だ。特に黒Rは外に出ることなくa8またはb8で取られており、黒Bf8は原型位置で取られている。駒取りはg筋で白Pによるものが1枚、b筋で黒Pによるものがの1枚ある。
 では、左下の形をほぐすことを考えよう。ここの配置で現在動ける黒駒はなく、この形を作るにはb1に一枚黒の遮蔽駒を挟む必要がある。それがQであることは明らかだろう。また、この黒Qを取れる白駒がSしかないのもすぐ分かる筈。問題は、白Sが黒Qを取った後の手順だ。この白Sを取った黒駒はどれなのだろうか?
 これは黒Pf5ではあり得ない。というのは、もしそうだとするとSxc1の後白Sがc1からf5に行く迄の間、黒の着手が存在しないからだ。(これを防ぐ為に、例えばRa8又はPh7を追加したとしても、これを白Sで取った瞬間に黒の着手がなくなってしまうのは変わりない)つまり、作者から与えられたミッションは「白Sが黒Qを取ってからも、黒が手詰まりにならないような局面を構成せよ」だ。

 すぐに思いつくのはh筋の黒Pを使う筋。Pf5ではなくh筋の黒Pに白Sを取ってもらえばよいのではないだろうか?ところがこれも、実際にやってみれば分かるが巧くいかない。

(失敗図)
フォト

つまり、この局面からSd3 Ph6 Se5 Ph5 Sg4 Pxg4 Pxg4となったところで、やはり黒の手がない!Pf5をf6にできればいいのだが、それだと黒Rがb3にあることと矛盾してしまう。

 すると残るは黒Rしかない。勿論この黒Rを取った駒は白Bしかなく、ではこの白Bをどう処理するか…と考えていけば、作者が用意した設計図が見えてくる。 即ち、白Sが黒Qを取った後黒Rに取られ、それを白Bが取り、更にこれをh筋の黒Pが取り、最後にこれをh筋の白Pが取ったのだ!従って、作意順は以下のようになる。

Retract:1.Pg4-g5 Pf6-f5 2.Pg3-g4 Pf7-f6 3.Ph2xPg3 Ph4xBg3 4.Bb8-g3 Ph5-h4 5.Bf4xRb8 Ra8xSb8 6.Sc6-b8 Rb8-a8 7.Se5-c6 Ra8-b8 8.Sd3-e5 Rb8-a8 9.Sc1-d3 Ra8-b8 10.Sd3xQc1 Qb1-c1...

(10.0手前の局面)
フォト

 ちなみに左下の配置は、この後白がPc2-c3と戻して黒Rb3を解放すれば(或いは黒がPc3xSb2と戻すことで)ほぐすことができる。

 この遮蔽駒を消すことに始まる駒取りの連鎖(sequence of capture)は、Cerianiが追及したテーマの一つで、彼は他にも様々な展開を試みている。参考図として以下に2作を挙げておこう。

(2-a)Luigi Ceriani(32 personaggi e 1 autore 1955)
フォト
局面をほぐせ (13+12)

(2-b)Luigi Ceriani(Springaren 1953, 1st Prize)
フォト
駒取りの順序は?(13+13)


 今回の出題作のテーマはRetro-opposition(我々が今使っている言葉でいうとtempo move)である。こちらもCerianiが得意としたテーマの一つであるが、さてその手段とは?

(3) Luigi Ceriani(Europe Echecs 8 04/1959)
フォト
局面をほぐせ (12+14)
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する