(1)Luigi Ceriani(problem 10-12 12/1952, 2nd Prize)
黒Kの初手は何か?(14+7)
まずは取られた駒の確認から始めよう。白のなくなった駒はRSの2枚で、黒のなくなった駒はQBBSSRRPPの9枚。白Bf8は明らかに成駒であり、これは元々a筋のPだったので、このPだけで白は5枚駒取りをしている。更に黒Bf8は原型位置で取られているので、白の駒取りは残りあと3枚。一方、黒の駒取りはPd5とPe6で尽きている。
黒Kはf1に何か遮断駒を挟んでSd1に移動してもらわないと身動きが取れないが、この遮断駒になれるのは黒Rしかない。では、黒K及び黒Rの侵入経路はどういうものだったのだろうか?一見不可能に思えるが、実はちゃんと方法がある。それはg筋とh筋でのcross captureだ!つまり、これらが白陣に侵入した手順は以下のようになる。
(1)まずPe3として白Kと白Bf1、それに白Qを外へ出しておく
(2)白Pg2、Ph2/黒Kg4の状態でPg2xh3+ Kf3として黒Kが侵入
(3)続いてg筋から黒Rも侵入させる
(4)最後にPh2xg3とし、右下の配置を作る
さて、こうしてできた配置には当然黒Rがいるので、最後はこれを白Sで取り、更にこれを黒Pに取らせなくてはならない。(これで白の駒取りもcross captureと合わせて9枚ちょうどになった)従って、出題図に至る手順は次のようになる。
Retract: 1.Pc6xSd5 Sb4-d5 2.Pc7-c6 Sd3-b4 3.Ph6-h5 Se1-d3 4.h7-h6 Sd3xRe1 5.Rf1-e1 Sc5-d3 6.Ke1-e2 Sc3-d1 7.Kd1-e1 Sb1-c3+ 8.Re1-f1 Kf3-g2...
(図1)
この局面が逆算可能であることは既に示した通り。では、ここから更に遡り、白Pがf8で成る前の局面について考えてみよう。
白Pがe6にいる段階では、例えば次図のような配置になっていた筈である。(ちなみに、白Pe6が取った駒はRSSとa筋で成ったPである)
(図2)
この局面に至り、やっと作者の意図が判明する。つまり、もし黒がここで0-0としていないと、Pxf7+に対してKf8とする他なく、その後黒Kの(白Pも)動きが取れなくなってしまうのだ!(逆に、0-0の後Rf8-e8としておけば、それからf8=Bとされても黒K及びRは世に出ることができる)実にユニークなキャスリングの意味付けである。
Cerianiは本作のような黒Kが敵陣深く潜り込んでいる構図で、他にも様々な展開を試みている。(この辺、久留島喜内に似ているような気もする)
今回の出題図もそのうちの一つだ。
(2)Luigi Ceriani(Die Schwalbe 10/1969, 2nd Prize)
局面をほぐせ (13+12)
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