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2015年02月08日20:34

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リトラクター入門(2-3)

(8) J. Haas (Die Schwalbe 1972, 1st Prize)
フォト
最小限の戻しにより、白から1手詰にできる局面を作れ (10+13)

(8)の条件は風変わりで、今までよりもずっと複雑で、詳細な分析を必要とする。白の駒取りはe2xf3、fxg、そして原型位置のBf8である。黒側の駒取りはaxb、h筋のPによる3枚(これはe1かg1で成って、現在a5にいる)、それと白Bc1、そしてc筋の白Pである。1.Rc7-c8と戻した後、局面をほぐすためにはKc8-d8 ---; Rd8-d7 ---; Rh8-d8 ---; Kd8-c8, Kb8-a8 etc ...と戻さざるを得なくなる。この間、白は3手のtempo moveを必要とするが、白に与えられているのはg3-g4の1手だけである(f2xg3と戻すと、Ba5がe1またはg1から戻れなくなるのでillegal positionとなる)。従って、前もって黒Kによりc筋の白P(これが白にtempo moveを与えてくれる)を戻しておく作戦が必要となる。この準解析的な考えから、以下の手順が導かれる。(「準」と付けたのは、この種のレトロプロブレムが、黒は白に抵抗しないことを前提としているからである)
1.Rc7-a8 Kb8-a8 ... 10.Kc4-d4(or d5) Ka8-b8 11.Kd4xPc4! Kb8-a8 ... 19.Ke8-f8 (白Kはこの間、a8とb8を往復して待つ) Kb8-a8 20.Kd8-e8 Ka8-b8 21.Kc8-d8 c3-c4 22.Rd8-d7 c2-c3 23.Rh8-d8 g3-g4 24.Kd8-c8 Kb8-a8 25.Rd7-c7 Rc7-c6としてから白が1.Rc8#とすればよい。

10手目のキズにも拘らずこの「解」は人々を魅了し、K.Fabelや作者自身によって同構想の作品が作られている。ところが、これはDie Schwalbeの解答者全員が騙された偽作意である!真の作意順は、上記のレトロ解析とは何の関係もないものなのだ。
1.Rc7-c8+ Kb8-a8 2.-12. Kc1-c2-d3-d4-e5-f6-g6-h7-g8-f8-e8-d8 13.Kc2xBc1!! Kb8-a8 14.Kd3-c2 Ka8-b8 15.Kd4-d3 Kb8-a8 16.Ke5-d4 Ka8-b8 17.Kf4-e5 Kb8-a8としてから、白が1.d4#とすればよい。実によくできた心理作である。

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