1998年のデパートのトリを飾ったのが、以下の作品です。
小泉 潔
(詰パラ 平成10年12月号)
66馬、46玉、57馬、55玉、64銀、同銀、66馬、46玉、45金、同成銀、
57馬、55玉、
「75馬、57香、56歩、同玉、66馬、46玉、57馬、55玉」
「75馬、57香、56歩、同玉、66馬、46玉、57馬、55玉」
「75馬、57香、56歩、同玉、66馬、46玉、57馬、55玉」
75馬、59龍、56香、同玉、66馬、46玉、47香、35玉、36香、24玉、
25歩、15玉、48馬、14玉、15馬、同玉、16金、14玉、15歩、23玉、
33と寄、12玉、22と迄59手詰。
8手一組の持駒変換。趣向の舞台装置と収束とをつなぐ局面において香と歩が等価であるお蔭で、趣向それ自体(意味付けは手数伸ばし)と香先香歩がどちらも成立するというのが巧い構造だ。
後は「神無一族の氾濫」から、3作紹介したい。
神無次郎
安北バカ詰 8手(詰パラ 平成10年12月号)
97飛、87角、同飛、18玉、54角、45角、88玉、28飛迄8手詰。
大駒4枚の利きが錯綜する、派手で面白い手順。ちなみに七郎氏は「上下反転して、安南にした方がよかった」とコメントしているが、これは3手目飛生限定になるかららしい。よく見ているねえ。
神無太郎
背面バカ自殺詰 8手(詰パラ 平成10年12月号)
17飛、18角、35飛、36角打、13飛生、26玉、17飛生、58角寄成迄8手詰。
飛が三角形の軌跡を辿る(!)Rundlauf。フェアリーの魅力の一つは、こういう普通詰将棋では絶対に実現不可能なことをやってくれることだ。(だから逆に、何とかのテーマとやらをフェアリーピースを使って表現して喜んでいる西欧のプロブレミストを見るとガッカリするんだろう)
神無太郎
背面バカ自殺詰 8手(詰パラ 平成10年12月号)
98飛、99桂、13飛、23角、99玉、97香、96桂、89香成迄8手詰。
ほぼすべての着手に、背面ルールが活かされている傑作!ただ、こんなの人間の頭で解けるんだろうか?(実際、正解者は七郎氏ただ一人だった。でも彼は一族の人間だからなあ…)
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改めて確認したところ、この「温故知新(平成編)」を書き始めたのが平成23年11月26日から。3年以上もだらだらと駄文を書き連ねてきたことになる。私の日記で一番読者の多いコーナーなのでかなり悩んだのだが、この連載についてはここで一旦筆を置くことにしたい。
別に嫌なことがあったわけでもないし、書けなくなったのでもない。一番の理由は、「今年一年はCeriani marathon及びCaillaudのレトロコラムの翻訳に力を注ぎたい」ということだ。私がこれまで詰将棋に関して書いてきた程度の文章ならもっと巧く書ける人が沢山いらっしゃると思うが、Cerianiの全作品を解こうとする酔狂な人間は、恐らく私くらいだろうし。
実は既にCaillaudの翻訳の方は結構進んでいて、現在のペースで進めばあと3ヶ月位で終わりそうだ。これは近々日記に載せる予定なので、レトロの世界に興味がある方は是非御一読下さい。また、Cerianiの方も同様に連載する予定です。こちらも御期待下さい。
最後になりましたが、これまで「温故知新」を応援してくれた皆さんには心よりお礼を申し上げます。有難うございました。尚、製本は既に完了しておりますので、「温故知新(第14集)」を通読希望の方は、これまで同様にコメント欄にその旨書き込んで下さいな。
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