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2015年01月21日23:39

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プロパラを振り返る(117)

 今日読んでいるのはプロパラ50号(April-June 2009)。フェアリーコースから、上田、Feather、そして若島という、いずれ劣らぬ大御所の簡素形作品を3題紹介しよう。

(235)上田吉一(Problem Paradise Issue no.50)
フォト
H#2 b)g2G→Moose(3+3)
Grasshopper g2

Grasshopper:Qと同じ方向に、駒を一つ飛び越えてその次の桝に着地する。そこに敵の駒があれば取れる。
Moose:Qの筋で、駒を一枚飛び越してから進行方向と45度をなす地点に着地する駒。そこに相手の駒があれば取れる。

a)1.Qf4 g8=G 2.Qh2 a8=G#
b)1.Qa1 a8=M 2.Qg1 g8=M#

 極限まで削ぎ落とされた配置で繰り広げられる対照の妙。黒Qの軌跡、2枚の白Pの役割交換など、全てがa)とb)の間に響き合っている。
 尚、a)で黒Qがh2に行くのはKの退路塞ぎだが、b)でg1に行くのはg8のMooseの邪魔をしない為である。(2.Qf1は3.Me1で逃れ)


(236)Chris Feather(Problem Paradise Issue no.50)
フォト
H#2.5 b)a1=h1(1+1+2)
PWC

neutral piece:黒からも白からも動かすことができる駒。
Platzwechselcirce(PWC):駒を取るとき、取られた駒は取る駒が直前にいた位置に再生する。8段目に発生したPは任意の駒に成れ、その選択は取りを行った側が決められる。1段目に発生したPは動けない

a)1...bxa8=nR(b7)+ 2.Kxb7(a7) nRb8+ 3.Ka6 a8=nR#
b)1...gxh8=nQ(g7)+ 2.nQh1+ Kf2 3.nQg1+ nQxg7(g1=nR)#

 a1=h1というstipulationを最初に見たときは、てっきり「a1がh1になるように回転せよ」か、それとも「線対称に移動せよ」のどちらかだろうと思ったが、結局どちらも不正解。正しくは「盤面を時計回りに90度回転せよ」という意味だった。でもこの表現は、一寸不親切だよね。
 もう一つ感覚的に馴染めないのは、neutral pawnを取ったときの扱い。PWCだと、8段目に発生したPは任意の駒に成れるが、1段目に発生したPは動けないことになっている。でも、中立駒にとっての1段目或いは8段目って、どう解釈するんだ?勿論この辺もルールできっちり決まっているに違いないが、だからといってこの違和感が完全に払拭できる訳ではない。
 散々文句をつけておいて言うのもなんだが、作意自体は中立駒の特性を活かした好作だと思う。

(237)若島 正(Problem Paradise Issue no.50)
フォト
H#5 (2+2) Invisibles 0+2
Andernach

Andernach:K以外の駒は、駒を取ると色が変わって敵の駒になる。新しく発生したRはキャスリング可能。
Invisible:盤上に存在するが、姿の見えない駒。その駒の実態と場所が分かってしまうと、透明性を失って普通の駒となる。

1.Ixh1(=wI) I--- 2.Kb3 I--- 3.I--- Kc1!(wI=Rd1)
4.Ka2 Rd3 5.Ka1 Ra3#

 3手目のキャスリングのみで、黒のInvisiblesがPb2とPg2(またはQ)だったこと、及び初手でh1に白のInvisible Qが発生し、それをa8-a1と動かしたことが証明される。透明駒が完全限定ではないのが残念だが、それでもこの明快なロジックは十分魅力的である。
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