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2015年01月17日23:05

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温故知新(詰パラ512号-02)

 先週に引き続き、512号からの引用です。

牧野隆一「大河」
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(詰パラ 平成10年11月号、半期賞)

A33飛、イ23銀、14歩、24玉、15角、14玉、23飛成、同玉、24金、12玉、
23銀、21玉、13桂、31玉、32銀成、同玉、33金、31玉、32香、41玉、
42金迄21手詰。

A35角は24香(限定!)で逃れ。
イ23飛は25桂、14玉、23飛成、同玉、33飛以下。
イ23角は14歩、同玉、15金、同玉、35飛成、25金、17香、16合、24角以下。
イ23金は35角、24合、15香、14合、25桂、22玉、32金以下。

 担当の石黒氏が解説されているように、初手35角の紛れが香合のみ詰まないこと、2手目で七色図式となること、そして手順が完全限定であることなど、様式美という点においてはほぼパーフェクト。これが初入選というのだから、驚く他ない。
 何しろ手順に作者の意志を込めることがほぼ不可能だから、裸玉を作ろうとする作家は鉱脈を求めて黙々と掘り進む炭鉱夫のように見える。そして、大概はひたすら読みを入れたとしても、その労力に見合った対価を手にすることなく徒労に終わる。だが、詰将棋の女神は気紛れで、ときにこんな金脈を新人作家に提示することもあるのだ。

大橋健司
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(詰パラ 平成10年11月号)

85金、96玉、A88桂、同と、95金、イ86玉、87歩、同と、53角、ロ同銀、
96金、同玉、94飛、95飛、63角、86玉、85角成、同飛、96飛、同玉、
85銀、86玉、76飛、95玉、96飛迄25手詰。

A95金は同玉、75飛、85桂以下逃れ。
イ同玉は75飛、84玉、95角、94玉、85角、95玉、63角成以下。
ロ64歩は96金、同玉、85角、86玉、75銀以下。

 3手目88桂は、95金を同玉と取られた変化で75飛に対して85桂と捨合されるのに備えた軽い伏線。と金を上下させる洒落た序に続く9手目53角が非常に味の良い手で、これによって63角が成立するので以下は自然な纏めとなる。
 大橋氏独特の豪快さや重厚さは余り感じられないが、その代わり細部に作者の緻密な計算と創作テクニックが感じられる一局。

松さか子
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レトロバカ詰−2+1手(詰パラ 平成10年11月号)

14玉(+成銀)、35玉/24成銀迄。

 これは「レトロバカ詰−2+1手において、合駒制限なしで成銀またはと金を戻す図が作れるか?」という、フェアリーランド結果稿での問い掛けに応じる形で作られたもの。2手目前の局面が成銀以外なら不可能局面になっていることを、各自ご確認いただきたい。
 ちなみに、実は私も全く同じ構図で成銀を戻す作を作っていたのだが、筒井さんに余詰を指摘されて敢え無く撃沈。まあ、松さか子先生(17歳)と同じことを考えることができたというだけで満足するべきなんだろうな。

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