今日読んでいるのは詰パラ512号(平成10年11月号)。期末だけあって豊作だ。早速作品紹介していくことにしよう。
小林敏樹
(詰パラ 平成10年11月号、半期賞)
12飛、43玉、46香、54玉、52飛成、同馬、64角成迄7手詰。
飛と香の限定打2発。簡素図なので、より一層鮮明な印象を受ける。いつにも増して無駄を排しているために殆ど原理図にすら見えるが、案外作者のお気に入りなのではなかろうか。
伊田勇一
(詰パラ 平成10年11月号)
26金、同と、37金、同と、26龍、同玉、38桂、36玉、45馬、同飛、
26金迄11手詰。
新古典派とでも呼ぶべき伊田氏の初入選作。お世辞にも好形とは言えないが、初手からの3連続捨駒は重量感たっぷり。最後の馬捨てまで弛むことなく纏め上げているのは流石だ。
長壁敏雄
(詰パラ 平成10年11月号)
18金、29玉、65角、18玉、36角、27香、19香、同玉、29金、同香成、
18金迄11手詰。
角打ちはいずれも限定打。欲を言えば打った角を一枚でも消したかったところだが、初形の広がりを最小限に抑え短手数で狙いを実現しようという作者の意図ははっきりと窺える。
市島啓樹
(詰パラ 平成10年11月号、半期賞)
45桂、イ54玉、81角、55玉、63飛生、ロ54玉、53桂成、同香、66飛生、55玉、
45角成、同香、56歩、54玉、44銀成、同玉、64飛迄17手詰。
イ同香は42角、同金、同銀、同玉、43桂成、同玉、63飛成以下。
ロ77龍は56歩、54玉、66飛成、72合、55歩迄。
こちらは紛うことなき市島ワールド。舞台装置を次々と味良く捨駒でセットし、2枚の角のラインを開閉しながら飛が不成で悠々と往復する。最後は用済みになった角を一枚消し去り、両王手でフィニッシュ。何というムシの良い作意だろうか!
普通これだけやりたい放題の作意を設定したら、ロジックに破綻をきたしたり、とても解く気が起こらないような配置になったりするのが関の山なのだが…。やはりこの作者はモノが違う。
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