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2014年12月20日17:26

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今月のセインティア翔ネタバレ

★頭(こうべ)をたれる教皇の真意とは!?
かつて赤子であったアテナの命を狙い聖域を我が物としようとした男の涙…

stage17 善と悪

沙織は自分にひざまずく法衣姿の男を見つめた。
「あなたが…教皇?」
「アテナよ…。この時を…ずっと待ち望んでおりました。あなたが…わたしの前にあらわれる日を」
教皇が涙ながらに語る。
『この人が…、13年前わたしを殺そうとした教皇…!?でも…この涙は…?』
「…わたしを殺すことが、あなたの目的ではないのですか?」
「いいえ…。わたしはあなたに、この聖域にはびこる邪悪を打ち払ってもらいたいのです」
「…え?」
「今ここでこのわたしをお討ちください。その杖で」
沙織の手にニケの杖が触れる。
「…!」
「その黄金の杖はアテナの象徴たる勝利の女神像が姿を変えたもの。持つものの意志でいかなる敵をも滅する力を持つといいます。その大いなる力でどうか…、このわたしを消滅させてくださいませ」
「…死を選ぶというのですか」
「さあ…アテナ…、時間が…ありません…」
ハア、ハアと教皇の息が荒くなる。
「う…、うう…」
「教皇…?どうしたのですか?」
沙織の手が教皇に伸びる。
「わたしに近付いてはなりません!」
「!!」
「く…っ」
教皇の手には黄金の短剣があった。右手に柄を握り抜こうとする短剣の刃を左手がつかみ、止める。教皇の手が傷つき血が流れた。
「アテナよ…、大いなる…神よ…。わたしが…これ以上…罪を重ねる前に…。どうか…わたしに…裁きを…」
教皇の目から涙が落ちる。
「…できません」
「な…ぜ…?」
「神がその力をもって人を裁くことは、間違っていると思うからです。それに…あなたは今、心から罪を償おうとしている…。違いますか?」
「…ア…テナ…よ…、ちが…う…」
「…?」
「わたしは…、わたし…は…」
教皇の金髪が黒髪に変わっていく。
『髪の色が…、変わってゆく!?」
カッと教皇から小宇宙が放たれた。
「!」
「クックック…、残念だったな…。時間切れだ」
『!?』
黒髪の教皇が沙織の前に立ち上がる。
「アテナよ…後悔するがいい。あなたは今わたしを討てる唯一のチャンスを逃したのだ」
『この人は…!?』
「この大地は…わたしのものだ!さらばだ…アテナよ!」
黄金の短剣が沙織に向けられる。
「あなたは…誰なのです?」
教皇の動きが止まった。
「…う、く…っ。アテ…ナ…よ、どう…か…」
教皇の目が涙を流す。沙織の目の前に異次元が広がった。
「!?」
沙織は異次元空間に流された。
『異次元空間を通して逃がしたか…。あと少しのところでジャマをしおって…。フン…まあいい。こんなにたやすく決着がついては面白味もないというもの。じわじわと力を削ぎ取り、存分に思い知らせてくれようぞ』
傷ついた自分の左手と血に染まった黄金の短剣を見る教皇。
『この地上を支配するのは、わたしの方がふさわしいということをな』
ハハハ、と教皇は高笑いをした。
グラードコロッセオをではカティア、ゲオルク、ユアンとマユラの戦いが続いていた。マユラの攻撃をカティアが防ぐ。
「…なんのつもりだ?カティアよ」
「もう…終わったのです。これ以上あなたたちが戦う必要はない…!マユラ殿…、アテナ様は無事です。今は信じてお待ちください。ユアン…ゲオルク…、迷惑をかけてすまなかった。お前たちは真のアテナ様…沙織様のもとで戦ってほしい」
「なに…?」
ゲオルクが驚く。
「すべては、アテナ様のためでした。だが…わたしの行いは決して許されることではない。マユラ殿…、あなたの御手を煩わせてしまったことをお詫びいたします」
「……」
氷が舞い上がり、その刃がカティア自身に向く。
「アテナ様を、頼みます」
「な…ッ」
だがカティアの技はマユラによって阻まれた。気を失ったカティアを抱くマユラ。
「愚か者め…。殻から出ぬうちに役割を終えた気になりおって」
カティアの首元を調べるマユラ。
『やはりな…。願いの毒に侵された形跡がある…』
カティアを抱き去ろうとするマユラ。
「おい!そいつをどうするつもりだ!?」
「すまんがこの娘のことは私が預かる。聖域には死んだとでも報告しておけ」
「なっ…」
「心配するな。喰ったりはせぬ。気にかけるならこの娘の最後の言葉を信じてやれ…。お前たちも無駄死にはするなよ」
そうしてマユラは消えた。
「…って。おめおめ帰れるわけねーだろうが!どうしろってんだよ!」
「……」
「あいつらの話を信じればつまり…、あの城戸沙織って娘が本当にアテナ…?」
「…だとすれば、聖域で一体なにが起こっているというのだ…?」
「くっそ…勘弁してくれよ。また俺たち貧乏くじ引いちまったってことか…!?」
「……」
「…どうする?」
「……。ひとまずは…、腹ごしらえでもしてから考えるか」
ニケの杖を握った沙織は異次元空間を漂っていた。
『ここは…異次元空間…?どこへ流されていくの…?』
ぐらりと沙織の体が傾き、一点に流されていく。
『吸い寄せられる…?』
「う…っ」
「おつかまりください。空間が閉じます」
黄金の鎧を纏った手が沙織に差し出される。異次元にあらわれたのは魚座のアフロディーテだった。
「アフロディーテ…?」
「あなたを無事に送り届けろと教皇の命令です」
『……。やはりあの人は…』
「さあ…落下しますよ。お気をつけて」
そうして二人は城戸邸のベランダに着地した。
「それでは…わたしはこれで」
「待ってください、アフロディーテ。よろしいのですか?わたしをこのまま野放しにして」
「私はあなたの送迎を命じられただけですよ。あなたこと…なぜ見逃したのです?先ほど教皇に相まみえたのでしょう?あなた次第では戦いは…終わっていたかもしれないのでは?」
アフロディーテと沙織が見つめ合う。
「…あの教皇がどんな人物なのか分かりました。今日はそれで十分です」
「…甘いですね。それでは正義は貫けない。この世に戦いがある以上、力こそが正義。何物をも倒せない者は何物をも守れないのです。戦いの女神であるアテナの正義もそうあるのだと思っておりましたが…、あなたはやはりただの感傷的な少女だったようですね。…数々のご無礼お詫びいたします。ですが地上を守る聖闘士として、信じられぬものに忠誠を誓うことは人々を裏切ることになります…それだけは絶対にできない」
「…あなたの言うとおりです。強大な力を持つ黄金聖闘士ならばそのように考えて当然でしょう」
「さあ…他の者のことは知りませんが、ただ…最後にこれだけは、わたしは神ではなくひとりの人間です。すべてを正しく知る力などなく、あなたのことも神話と聖域の記録でしか知り得ませんでした。ですから…どうか見せてください。あなたがいかなる神なのか。これからの戦いの中で…」
アフロディーテは優雅に微笑み、バラの花を一輪残して消えた。
『薔薇の香り…、沙織さんが…連れて行かれちゃう…』
「沙織さ…、…痛ッ!」
翔子は城戸邸の寝台の上で目を覚ました。そばにはシャオリンがついている。
「良かった!気がついたんですね!」
「…え?」
経緯を説明するシャオリン。
「…そっか。沙織さん…無事だったならよかったよ」
「あの薔薇は強力な催眠毒をもつデモンローズというもので、わたしたちも長い間意識不明の状態だったんです。翔子さんはダメージが大きかったみたいですが、無事で良かったですね!」
「……。沙織さんと美衣さんは?」
「それが…」
「まったく…おめでたいお嬢さんたちだね」
窓辺に来訪者があった。鷲を左手に止まらせたその女は、鷲座の白銀聖闘士、魔鈴だった。
「黄金聖闘士があんたたちをまともに相手するわけないだろ。本物のロイヤルデモンローズを使われていたらとっくに全員死んでたよ」
「!あなたは…」
「誰!?」
「わたしは鷲座の魔鈴。アテナおつきの聖闘少女(セインティア)ってのがこんな甘ちゃんばかりとはね」
『マユラ様にどことなく似てるけど…、まさか…また敵!?」
「な…なんの用?」
「フッ…安心しな。わたしは敵じゃない。用があってここに寄っただけさ。あんたたちがおネンネしてる間に、聖域に色々動きがあったもんだからね」
「…え?」
「いちおうあんたたちも知らせておくよ。聖(セント)アカデミーが襲撃されたってね」
「!」
シャオリンと翔子の二人に衝撃が走った。
◆聖闘少女の養成所たるアカデミーになにが!?


作者コメント:気づけばもう年末でした…。早い!色々すっきりして年越ししたいです。


カティアが突然「わたしはしょうきにかえった!」状態にw
アフロディーテが紳士だw魔鈴さんも登場でますます続きが楽しみ。ユアンとゲオルクも良いキャラなので生き延びてほしい。
この時点では本作では教皇=双子座のサガで二重人格ってのは謎なので、原作での暗黒聖闘士戦〜十二宮戦の間はセインティアでは聖アカデミーでの戦いとかするのかな?どの時点で謎を明らかにするんだろ。十二宮戦にはセインティアは不参加だしなぁ。

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