いくら小中学生対象の公募とは言え、地域の歴史を軽視する考え方は如何なものか。

京急電鉄、小中学生「わがまち駅名募集」産業道路駅など駅名変更へ
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=95&from=diary&id=5294738
昨日晩、京急が全73駅の過半数の46駅について改名を視野に「新名称を公募」と言うこのニュースに接して、正直京急は何を考えているのだろうかと驚きましたね。京急からは 
http://www.keikyu.co.jp/company/news/2018/20180918HP_18132MT.html 
とプレスリリースが出ていますが、それによると、「わがまち駅名募集！」と題して創立120周年記念事業として沿線の小中学生から駅名変更案を募集し、抽選で120名に「京急120周年記念品（非売品）」をプレゼントすると言うもので、手始めに「大師線連続立体交差事業」で地下駅となる大師線の産業道路駅の駅名変更を決定、「他社線（に限らないが）との乗り換えの最寄り駅」として、品川、京急蒲田、天空橋、羽田空港国際線ターミナル、羽田空港国内線ターミナル（国内線・国際線共用化のために改名の動きがある）、京急川崎、八丁畷、京急鶴見、京急新子安、横浜、上大岡、金沢八景、京急久里浜の各駅、「公共施設、神社仏閣、歴史的史跡などの最寄り駅として広く認知されている駅」として、鮫洲、平和島、穴守稲荷、川崎大師、生麦、弘明寺、金沢文庫、神武寺、安針塚、県立大学、浦賀、ＹＲＰ野比、三浦海岸の各駅を「改名の予定がない」駅に指定（計26駅）、また、都営浅草線との共同使用駅（東京都交通局管理）の泉岳寺駅を「対象外」とし、残る46駅について、「一層皆様に愛され、沿線の活性化に繋がると思われるものや、読みかた等が難しくお客さまにご不便をおかけしている駅等」のいくつかを改名検討としているようで、プレスリリースの文面が曖昧で抽象的に書かれているのでやや分かりにくいのですが、最大46駅に改名の可能性を持たせる、過去に例をみないような大規模な駅名変更となる可能性がある計画となりますね。 
産業道路駅については、地下駅になることで「道路名にこだわる必要がなくなった。子供たちが大人になっても戻ってくるような駅名にしたい」との京急の意向に加え、「周辺の再開発整備で様変わりしていくことから市の飛躍につながるようなイメージや公害のイメージが払拭できたりするような駅名に変更して欲しい」との要望が川崎市に寄せられていると言う“諸般の事情”があるとのことですが、記事が対象と紹介している「現在の地名とはつながりがなく、読み方が難しい『雑色（ぞうしき）』（東京都大田区）や、かつてあった地名が由来となっている『仲木戸（なかきど）』（横浜市神奈川区）の他にも、朝夕に特急などが停車する「青物横丁」やエアポート急行が停車する「神奈川新町」や「日ノ出町」、「杉田」、さらに終着駅である「新逗子」、「浦賀」、「三崎口」と言ったところが対象に含まれており、莫大な費用を要するはずの駅名変更を決行するだけの費用対効果をどこまで見込んでいるのか、どうにも見えないところがありますね。 
こうした改名で連想するのは、昭和40年代あたりから都市部を中心に行われた「住居表示」や「平成の大合併」と称される市町村合併による地名変更であり、例えば東京都の目黒区のように三谷町、本郷町、芳窪町、衾町と言った地名が消滅して青葉台、東山、五本木、八雲と言った地名に換わるとか、静岡県の伊豆市、伊豆の国市や山梨県の甲斐市、南アルプス市、中央市、愛媛県の四国中央市のように旧自治体名が一見してわからないような地名になったりなど、地域の歴史を軽視する動きが多く見られたことで、後に行われた住居表示では地名の変更を最小限に抑える傾向が見られるようになりました。 
雑色や仲木戸（エアポート急行停車駅となった仲木戸はJR横浜線の東神奈川駅に至近だが、乗換駅としての認知度に乏しいと言う事情はある）のように古い地名が駅名として残ることで地域の歴史を身近にさせるところもありますが、いくら沿線の小中学生対象の公募とは言えこれらを「現在の地名とは繋がりがない」などと切り捨てて改名対象とすると言う京急の姿勢には違和感を禁じ得ぬところがあり、正直「如何なものか」と感じます。
いったい、いくつの駅を改名するのか、または「副駅名」にするのか、各駅の地元で考えられる反対の動きにどう対処するのか、注目したいと思います。