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2012年03月29日02:32

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オーディオ・マニアの「信仰」を嗤う:水曜深夜の俄研究。

 マイミクの初瀬川氏が「オークションで300円でテレコ部分の壊れたCDラジカセを買ったら、かなりいい音がした」「ビル・ゲイツ所有の6千万円のオーディオセット」は、どんな音がするのか、と訝しがっていたので、そこにコメントする形で考察をした。以下、その全文です(加筆修正済)。
 音響エンジニアやプロ・ミュージシャンなどの職業人は、超高級オーディオに意味があるでしょうが、それ以外の人間、評論家の類には無意味でしょうし、ああいう楽器も弾けないバカどもには、おそらく、実は音の違いなど分かっていません。スノップですね。

 そもそもCD、デジタルオーディオの時代では、D/Aコンバーターのサンプリング周波数44.1KHzの半分で、高域が20KHzまでしか録音できていません。
 我々アマチュアミュージシャンですら、ある程度感じられることですが、クラシックやジャズのプロ・ミュージシャンは、CDなどのデジタルオーディオでは、楽器の高次倍音(30KHz近くまで出ているはず)が聞こえないので、ホンモノ[=ライブ演奏]と音色が違っていて、大変に気持ち悪いと言っています。
 逆に言えば、CD時代のオーディオのハイファイを論じられるという時点で、職業人でない、生楽器の演奏すらできないような評論家どもの言う音の善し悪しなど、主観に過ぎません。

 さらに問題なのは、楽器や音楽全体の音色や、生演奏の生っぽさや迫力、端的に言う「音圧」も規定するこの高域成分ですが、「モスキート音」問題で分かるように、老化と共に聞こえなくなる成分でもある訳ですよ。

 してみれば、金が無くてはなれないので年寄りに多い訳だが、中高年のオーディオ・マニアの類には、そもそも全く聞こえていない訳であって、もともと倍音成分が決定する音色の問題すら分かっていないのに、更に劣化した耳ではもっと聞こえないくせして、音の善し悪しを分かったフリしている馬鹿者どもということになる。

 これは味蕾の能力が落ちているくせして、船場吉兆で味が分かったようなことを言ってて見事に騙されてた、中年食通の類に近いもんがあるね(笑)。

 さて、アナログ・オーディオなら、LPレコードの再生能力、その前段階ではスタジオで録音していたマイク&アナログ24chマルチトラックテープレコーダー[MTR]の性能に規定される訳だが、20KHz以上の高域が録音されていた可能性があるから、この音の入口・出口=録音・再生の部分では、理論的には、オーディオ的に「凝る」意味があるのではないかと、一応は思われる。

 よって、以下、それを検証していくこととする。
 そこで、まず、例えば、現場でよく使われている、今のシュアー社のマイクではどれだけの音が拾えるのか、という問題を考えてみる。
 そこで、ネットで検索して、KSM44というスタジオ用マイクのスペックを調べて、見て驚いた。何と20Hz〜20MHzの普通の可聴周波しかカバーしていないではないか!
 デジタル・オーディオ時代だから、最初から再生機器で聞こえるはずのない音域は入口でもうカットされているのか?

 次にソニーのプロ用コンデンサーマイクC-38Bはどうか。皆さんご存じの、漫才師の真ん中に舞台の床から登ってくる奴で、放送用途で多用され、PAやレコーディングでも使われる、1台20万はするやつだ。調べるとこれも周波数特性が20Hz〜18kHzしかない。

 これは終わっているな(爆)。クラシックやジャズのミュージシャンは、アナログ・レコードを聴いてさえ、不快感を持っているのだが、理由も分かる気がしてきた。なるほど、これではねぇ。
 山下達郎のようなロックのミュージシャンですら、機材がアナログからデジタルになって、音にガッツが無くなった、迫力が減ったと言っている(主に初期のA/Dコンバータの性能の悪さのせいだとは思われる)が、それはノスタルジーでも何でもなく、オーディオ機器の簡便化や普及と引き替えに失われた「感覚」のせいだったのだ。

 いや、待てよ、昔のマイクの性能がもっと高かったのかも知れないと思ったが、ソニーのC-38は大昔から使われていた。昔からそんな性能だったのだ
 でも、全てのマイクがC-38やシュアーのマイクのようではないかもしれず、これでは片手落ちだと、昔から知られる他の一流品も調べてみようと思い立った。

 で、調べてみると、他のレコーディング用の有名マイクで40万以上する舶来品=AKG社のC12VRでも、真空管マイクだから30Hz〜20KHzしかなく、同じく舶来品=NEUMANN社の有名マイクであるU87Aiでも20Hz〜20MHzしかカバーできてない!
 こんな代物で録った代物を「音の分離がよい」「楽器の定位が分かる」とか言っている連中は何なんだろう。だったら、入口の時点=マイクの性能のせいで、そもそもプレーヤーが聞いている生演奏など録ることすら不可能ではないか!

 こうやって調べ出す前は、入り口では拾えていたのが、録音&再生の時点で……という立論にする筈だったが、いきなり頓挫してしまった(爆)。

 さて、それはそれとして、次に、拾った音を、スタジオの24chのMTRがどこまで録って残せるのかという問題が出てくる。

 家庭用のオープンリール・アナログ・テープレコーダー、2トラ38cm/sとかよりは上だろうが、機械の入出力アンプ部分の性能に加えて、記録媒体=テープ=磁性体の能力の問題が出てくるのだ。
 我々アマチュアだってカセット時代に「クロム・テープ」や「Fe-Cr(フェリクロム)テープ」「メタルテープ」と言って性能を競っていた。あの時は確か、カセットの4.8cm/sでメタルを使って18KHzくらいだったように記憶している。カセットでは9.6cm/sや19.2cm/sという高速が使えないからこそ、記録情報量を増やすために保磁力の強いメタルテープが開発された訳だ。

 しかし、いくら高音質が必要なスタジオでも、さすがにメタルテープを高速で回してたわけではない(ヘッドがすぐに傷んでしまう!)から、やはり、マイクが仮に20KHz以上の高次倍音を拾えていても、スコッチの普通の磁性体のテープでは、どこまで高音域が残せていたのかどうかは怪しくなってくる訳だ。

 おまけにアンプの性能、という問題がある。
 そこで、今でも売ってるマランツのプリアンプを調べてみる。SV-722という製品で、周波数特性がフォノで20Hz〜30kHz、ラインで5Hz〜200kHzと、見かけ上のスペックとしては、流石の数字にはなっている。

 だが、ライン入力が200KHzまでったって、テープレコーダーの再生なら、LPレコードを録音したものなら、カートリッジ→アンプと信号が流れてきた時点で、例えば上の722なら、カートリッジの性能抜きにしても、最高でもフォノ入力の30KHzまでに規定されてしまう訳だ。

 また、そもそもカセットにしろオープンリールにしろ、民生用のテープレコーダーの周波数特性は20KHz以下の性能しかない上に、FMチューナーの出力は、FM放送自体が最初から高域がカットされて15KHzまでしか高域は電波に乗っていない。あの、真空管アンプの音に通じる、円い感じの音は高域が潰れているからなのだ。

 真空管といえば、ジャズ喫茶やクラシック喫茶にあった様な代物、仮にマッキントッシュなどの大昔の真空管パワーアンプなどは、ローテク故に、アナログ時代であっても、上限として20KHzがいいところで、それ以下の製品もあったのではないかと思って調べると、例えば、60〜70年代有名だったマランツ8-Bで、20〜20KHzだった。

 反面、現行製品であるマランツのプリメインアンプPM-11S2だと、トランジスタのディスクリート回路のせいか、周波数特性は5Hz〜120kHzとなっている。
 ただ、これはレコードプレイヤーのカートリッジがそこまで拾えて、さらにスピーカーがそこまで再生できて、この周波数まで再生できるという、いわば理論値になる訳だ。だが、実際には、針=カートリッジはそこまではとても拾えない。

 ところが、出口であるスピーカーの性能を考えるために、検索してみると、ジャズ喫茶の定番JBL社の最高級スピーカーに使われているツイーターの性能が大体30KHz程度のようだ。
 ということは、出口でのマックスが30KHz程度ということだから、それ以前で如何に高域まで再生可能であっても、所詮はオーバースペックになってしまい、ムダになるのではないか。

 しかし、何せ、入口のマイクが高級スタジオ用マイクでさえ20KHzと平気で書いているのだから、そもそも100KHzなんてとてもとても、50KHzなんて論外で、30KHzさえ無理っぽいので、そもそも高級オーディオのアナログフルセットだろうが、ましてや今のデジタルの最高級品のセットであろうが、CDプレイヤーがどんな疑似回路で高域を補おうが、もっと高域まで録音できるとされているDVDオーディオを使おうが、結局「原音すら再現できてはいない」ことに何ら変わりがないのだ。だって、20KHz以上の音なんて、そもそもマイクで拾えてないんだから。

[結論]
 高級オーディオというのは、まずは大半の利用者が、自分で楽器すら弾けず、生演奏のクオリティすら理解できない耳の人間だからこそ、成立している虚構の分野であり、次に、更なる問題として、老化と共に、今度は聞く側の耳の劣化のために無意味になってしまう、という二重の滑稽さを有している不毛なジャンルであるということができますね。アンタら、アホだからボラれているだけですよ!(爆)

 そんなものにかける暇と金があるのなら、演奏のクオリティを本当に味わうために、スコア[譜面]の読み書きや音楽理論でも、音大受験用の家庭教師でも雇って学んでみたり、あるいは先生について何か楽器でも始めたりする方が、音ではなく、よほど「音楽」自体が分かるようになり、音楽が楽しめるのではないでしょうかね。
 オーディオ雑誌を読んで、1m1万円もする電源コードに凝ってみたり、クラシックやジャズ評論の雑誌などを読んで妙な知識を蓄えたりするよりはね。

 それはね、手段が目的化している、というのですよ。音の違いが分かる俺って、追究している俺って凄い、道楽にこんなに金を使ってる俺って凄いという、ナルティシズムであって、音楽はもとより、音すら愛していない、愛しているのは自分だけという不毛の世界ですよ。
フォト

【追伸】
 今調べたら、JBLの1本50万する最高級3wayスピーカーProject K2 S9900は、何と50kHzまで再生可能。
 しかし、上の理由から20KHzで高域がカットされている<CD再生>に使うならアホですし、LPレコードを20KHzが再生限界の<真空管アンプ>で再生する出口にするのもアホですし、カートリッジが最高級品でも45kHz程度なので、プリメインアンプがトランジスタアンプでに100KHz以上の再生能があっても、やはりムダ。
 しかし、何と言っても、音源に入っている音こそ問題なので、録音時のマイクとマルチトラックのアナログテープレコーダーの性能が、一番の下部構造として全てを決めてますよね。

 ということで、ついに海外サイトを検索で探し当てたのですが、世界のスタジオで頻用されていたStuder社の24chアナログマルチレコーダーのスペックでは、テープスピード最高速の76cm/sで40〜22KHz (+/- 2 dB) 、60〜20KHz(+/- 1 dB) でしかありませんでした。やっぱりねぇ……。

 ここが肝でしたね。つまり、アナログの最高級品でカートリッジからスピーカーまで再生機器を揃えようが、デジタルオーディオと大差ない音しか、やはりアナログマルチには入っていなかったのです!
 ということは、実はそもそもアナログレコードには、ロースペックとされるCD並みの音しか入ってはいなかったのです!(むしろ、そうであるからこそ、その時の現状を踏まえて、デジタル・オーディオの規格が決められたのだと思います)
 いくらレコードプレイヤーのカートリッジが50KHz近くまで再生できるとはいっても、やはり無意味だったのです。


 そして、今はマルチはPCM=デジタルMTRになっています。
 サンプリング数は数を48KHZと倍にしている場合が多いですし、そうすると理論上は24KHzまで録音できるし、96KHzにすれば48KHzまで録音できる訳で、それは今や我々アマチュアがパソコンででもできるレベルの録音です。

 しかし「これで50KHzまでの高次倍音が拾える!」「クラシックやジャズが再現できる!」という馬鹿がいる訳ですが、今度はマイクの性能がそこまで拾えていない以上はまず無意味ですし、再生用に上の超高級スピーカーが用意できても、アンプが20KHz以上を再生できるアナログアンプでなければ無意味です。

 でも、そもそも、何よりもCDに20KHzまでしか入ってない以上は全く無意味ですね(爆)。

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コメント

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