mixiユーザー(id:8729247)

2018年07月19日13:45

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これは美談ですんだけど

この話は結局、救出もうまくいったし本人にけがもなくて
「めでたしめでたし」なわけです。

ただ、本当はダメだと思います。
このお方は救助の専門家ではない、救急隊でも自衛隊でも警官でもない。
しかも「仕事として依頼」されていない。
個人的に友人に頼まれただけです。

専門家が仕事として依頼された場合、
当然ですが何かあったら「労災」です。
救出作業中の大けがや死亡があっても職場が補償します。
救出に失敗した、うまくいかなくて救助できず相手は死亡もしくは大けがのときも、
仕事でやっているので「個人の責任」ではありません。

この話は本当にラッキーなのです。
全部がうまくいきました。
でも、この本人がたとえば水上バイク転倒しておぼれ死んだらどうでしょう?
家族が納得しない可能性もあると思いますよ。
なんで専門の救助に頼まなかった?なんでシロウトの息子に頼んだ?ってなるかもしれません。

ええ、普段から周囲からものごとを頼まれやすくちゃんとひきうけてやりとげる、
そういう人だったんでしょうから、親御さんもわかってくれるとは思います。
でも実際に死んでたら、わからないですよね。

救助に失敗して、たとえば助けようとして屋根から老人を下ろして
そのままおぼれさせてしまったら、
「あのまま屋根にいたらすぐにヘリコプターが来たのに」みたいな話になったり、
そういう可能性もありますよね。
救助のシロウトが下手に手出ししたからうちのじーちゃんは死んだ、とか
そういうことになった可能性があります。

ボランティアはありがたいしこういう大災害のときはいてもらわないと困る。
でも命の危険がある現場では、やっぱり専門家なんです。
「何かあったとき」に責任とれない、責任を問うことができないんです。

大けがしているからって医療資格ないのに包帯だの消毒だのして、
あとで大きく化膿して手足切断するしかなくなったら、って考えたら
すこしわかりやすいかな。
医者なら医師としての責任を問われるけど、
隣のおばちゃんが善意でやったことなら、誰も恨めない、責任も問えません。
「親切が裏目に出る」ってやつ。

わたくし個人的にはこの話大好きです。
「命がけで助けたんだから長生きしろよ」のくだりは何度読んでも泣けます。
でも、「結果オーライで本当によかったね」としか言えない。
同じことが他の場所であったら、こういうことはできたらしないほうがいい、としか言えません。
大災害は、自分の命も危険、なのです。
少し前にあった「テレビカメラの前で流されていく軽トラ」の話と同じです。
あれもたまたま救助した男性が成功したからいいけど、
「カメラ回してた人間がなんで手伝わないの?!」という非難は明らかに間違いです。

自分の身の安全が保障できない状況では、
「見捨てる」しかありません。
あの大震災のとき、あちこちで「見捨ててしまって…」という話を聞かされたけど、
「自分がまきこまれたら何にもなりません、あなたが無事でよかった」と答えました。

■水上バイクで来たヒーロー 15時間かけ120人救う
(朝日新聞デジタル - 07月19日 05:13)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=5206044
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