残るは後１日
第一
思った以上の乱打戦となった。
広陵のワンサイドになるだろうと思っていて、何度もそういう展開になりかけたのだが
その度に天理が追いかけてくる。
最後は３点差もあったのに、もうちょっとで逆転サヨナラしそうな雰囲気だった。
広陵にとってもっと苦戦した試合はあっただろうが
最後の最後までヒヤヒヤしたのは、この天理戦だろう。
天理は、桐蔭と遜色ないほどの逸材を集めている割には
秋季近畿大会のみ強くて、全国の成績はパッとしなかった。
この10数年で唯一感心したのは12年浦学戦のみである。
そのうち智弁学園の方が実績を残すようになり
天理に入る逸材の噂も聞かなくなり、いつの間にか秋季大会にも出なくなり
この数年ほどは、奈良の盟主は天理から智弁に移り
天理はセカンド私学になっていくのだろうと思っていた。
正直、今年天理が出るとは思わなかったし、
残念ながら全国でも１勝できるかどうかだろうと思っていた。
それがそれが、見違えるほど、本来あるべき天理の姿になっていた。
小技ではなく、とにかく打ち勝つ。粗い部分はあるが、これが正攻法の野球である。
最近は和智弁も堅実な野球をするようになったが、
一昔前の和智弁を彷彿とさせる。
これが監督が変わった効果というものか。
以前は一流の選手に窮屈な野球をさせて良いところなく敗退していったのに
今の天理は伸び伸びと気持ちよく野球しているように見える。
圧巻は今日の中村との対決だろう。
勝利に徹するなら敬遠すべき場面はいくらでもあったし
結果論としても、それこそ全打席敬遠していたら勝っていたかもしれない。
天理の投手もドラフトにかかるような一流ではない。
それでも勝負した。それが監督の指示ということらしい。
これが、あるべき天理の野球の姿だ。
そういう野球だからこそ、最終回の裏で打線が爆発できるのだろう。
敗退した時も選手にはやり切った顔があった。以前とは大違いだ。
監督によって、ここまで変わるものかと感心している。
方向性は間違いなく正しい。これで10年前のように近畿の逸材が揃えば
また8強４強まで戻って来れるだろう。
１月前まで、奈良代表は智弁が見たいと思っていたが
今では天理が見たいと思っている。次の春も夏も。
本当に良いチームだったと思っている。
広陵は、打線が上がり調子で、天理からここまで点を取れたのは上出来と思う。
が、投手陣に不安が多い。天理の打線を褒めるべきかもしれないが
ここまで打たれるだろうか。そろそろ投手陣の限界か。
花咲は天理並みに打ってくるだろうし、天理より投手は良い。
決勝はシビアな戦いになりそうだ。
第二
お互い初めて互角の力を持つ相手と戦った感じだ。
実際ほぼ互角だったと思う。
どっちが勝ってもおかしくなかったが
最終的に１試合多く戦ってきた側が勝って良かった。
消耗度の高い方が勝ったことでスッキリする。
逆だったら不完全燃焼といったところだった。
菅生は甲子園出場まで後一歩というのが多く
選抜ではたまに出ても勝負運がなく、
今年も三高、早実に勝ってきたものの、甲子園では勝負運がなく
割と早く負けるものだと思っていた。
今回、組み合わせに恵まれた点もあったが
実力も４強に相応しいものだったと思う。
同じグループだからか、東海大相模に近いイメージを受けた。
今回で殻も破ったし、有望な選手が集まって来そうだ。
三高、早実と並ぶ西東京３強の地位を築けるかどうか。
花咲徳栄にとっても初めて苦戦した相手だろう。
さすがに投手も疲れが出たか、ようやく打たれるようになったが
まだ余力のある菅生投手陣から９点を取ったのは見事。
これまで継投で大きな苦戦をしていなかったため
綱脇はともかく、清水にはまだ余裕がありそうだ。
投手が疲弊しているのは広陵も同じというか、広陵の方がひどいので
その分、アドバンテージがあると思う。
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