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2018年09月15日07:10

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「研究発表と上映会「木村白山って、何者?」」レポート

9月9日、京都・おもちゃ映画ミュージアムにおいて開催されている「渡辺泰展〜その研究活動と功績〜」の関連イベントとして、「研究発表と上映会「木村白山って、何者?」」が開催されました。

 この「木村白山」氏、日本アニメーション史の初めの辺りに登場されて数多くの作品を残されていますが、「名前と作品以外、ほとんど何も残っていない」という謎の作家。出身・生年不明、本名不明、本人の発言や肖像なども無く、「木村さんと白山さんの合作のペンネームでは?」という説もあるほどです。

 当日は、天宮遥さんの即興ピアノ演奏に載せて、まずおもちゃ映画として残された作品群を鑑賞。

 続いて、渡辺泰氏によるアニメーション解説、だったのですが、ここで思わぬトラブル発生。渡辺先生、展示の準備に張り切り過ぎられたらしく、お疲れがたまっていた所に、前日も遅くまで発表の準備をされておられた所に、会場は立ち見も出る程の満員で熱気ムンムン、ちょっとふらっとされて声が出にくくなったの見て、司会の太田さんが「休憩」を勧められ、ご退場。その後、救急車も来て場内一時騒然となりましたが、結局「念のため」病院に行き、「大事を取って」一応入院された、という事で、心配するほどのご様子ではなかったとの事でした。

 「SHOW MUST GO ON」で研究発表は続き、次は、千葉工業大学の河田明久氏による画家・木村白山研究発表。「結局、よく分からない、という事を発表する訳ですが」という前置き付きながら、いわゆる画壇、作品として絵画を発表するというタイプの画家ではなく、 パノラマ館の背景画や、映画の看板画を描いたりする、商業的絵師だったらしい、と資料を基に解説。なお、この「パノラマ館」というのは、円筒形の施設の内壁に風景画をぐるりと描き、その手前に等身大のフィギュアなどを並べて、あたかも実際にその場にいるように体験できる、アナログ版のチョー大掛かりなVRのようなもので、活動写真の登場までは中々の人気があったそうです。(万博の三菱未来館のようなものかね。そんな古いたとえをしても、分かる人は少ないだろうが。)

 続いては、今回の企画のきっかけを作られた藤元直樹氏が登壇。「あんな事もある、こんな事もある」と、木村白山の足跡に迫ります。

 さらに、白山画の紙芝居の紹介、台湾で発掘されたフルサイズの短編アニメの上映と続き、休憩として、懇親会。最後に「これはお涙頂戴ですから、ハンカチのご用意をお願いします。」とのふれこみで始まった白山画の親子情愛の紙芝居は、なぜか爆笑の渦になり、「なんで皆さん笑うんですか!」との声もむなしく、今回のイベントの最後を飾りました。

 実際の話、風景画や親子情愛紙芝居、戦争画の画集などに使われている普通の水彩・油彩絵のような手法と、もう一つの紙芝居で使われた、輪郭を線でとり、彩色した手法、また、アニメーションで使われていた、マンガ的な人物の描き方、あるいは当時としては中々生き生きとした動きの表現を見せるアニメーション表現等、「本当に一人の人物の仕事なのか」と思わされるようなさまざまな手法を駆使する「木村白山」、ダヴィンチや平賀源内のような器用多芸でさまざまな技法を自由につかいこなす作家だったのか、あるいは複数の人物だったのか、今後の研究が楽しみです。

(館内の写真等は、差し障りがあるとの事で撮影禁止のため、館のスタッフブログなどをご参照下さい。)

http://toyfilm-museum.jp/blog/column/8404.html
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