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2017年08月22日23:51

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一夏の淡い淡い恋物語「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」を観た!

 いわゆるタイムリープを題材にした不思議系作品なので、ちょっとでもネタバレ気になる方はスルーして映画を見に行きましょう。


●打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?


【あらすじ】

 とある夏の田舎町「茂下(もしも)町」。夏休みを迎えた中学では花火大会を前に、クラスメイトの男子グループでは「打ち上げ花火は、横から見たら丸いのか平べったいのか」などと他愛もない話題で盛り上がっていた。

 その日、プール掃除に行った典道(のりみち)と友人・祐介の前に、クラスのマドンナ・なずなの姿があった。彼女は二人の水泳勝負に加わり、「自分が勝ったら何でも言う事を聞いて」と持ち掛け、勝負に勝った彼女は祐介を花火大会へと誘った。

 夕方5時、祐介は照れか友人の誘いを優先したのか、なずなの下へは現れなかった。代わりに鉢合わせする典道となずな。なずなは「本当は(レースに勝つと思った)典道を誘いたかった」と告げると、母親から連れ戻されてしまう。彼女は転校する前にどこかへ逃げたかったのだ。

「助けて」と叫ぶなずな。どうしてあの時、自分がレースに負けたのかと打ちひしがれる典道。そしてなずなが朝拾った不思議な玉を投げつけると、典道は再びプールへと戻っていた……。


【大作っぽく見えて人を選ぶしんみり系】

 ジャンルも作風も違うのですが、ちょうど去年の夏の現代ファンタジーアニメ作品というと「君の名は」がスマッシュヒットしていたので、何となくそれを期待して観に行った人が「あれ?」って感じで映画館を後にしてるので(実際出てったお客さんが話してた)、ちょっと不安に思いつつも映画鑑賞。うん、人を選ぶわって感じでした。

 本作はタイムリープものですが、大抵こういうのは「致命的な失敗で取り返しのつかない事をしてしまった」のをやり直すための措置で、人類存亡の危機とか人名とか関わるのが常ですが、本作ではそれを「中学生の感情がとりあえず先走りした恋愛」に全振りしているので、スケールはさておき全編甘酸っぱさがフレッシュ・フレッシュ・フレッシュ。夏の扉を開けたい年ごろの子か、ノスタルジックなシニア世代を狙ったピーキーな内容になってます。劇中歌が松田聖子だし。

 その点「君の名は」だとメリハリの付いた分かりやすい展開に、スカッとするラスト、キャッチーな歌といったフックがいっぱいあったので、ちょっと誇大広告の毛が出てしまったのかなーという気がしました。興行収入的には成功だけど、大幅の層(こういうのが観たくて観に来た客)にハマらなかったというかなんというか。


【暴走する中学生の青春】

 タイムリープのトリガーは「あの一瞬をやり直せたら」という典道の感情だ。両想いだが互いの気持ちを知らなかった男女が、典道のやり直しを重ねる事によって想いを深めていく。しかし、その都度世界は改変されていき、観ているこちら側としては「おいおいおい大丈夫かよ」と不安になっていく。

 なずなは「駆け落ちがしたい」と口に出しつつも、できるわけがないと本心では悟っている。中学生が着の身着のまま都会に出た所で、活きていく能力などない。それでも彼女は典道といる一瞬一秒を噛みしめ、それを延長させるべく典道は何度でも時間をやり直す。「若い二人の無謀な愛の逃避行」これがどこまで行くのか、それが本作の肝であろう。タイムリープものあるあるだが、平凡で退屈な序盤からのタイムリープ展開は加速感があってたまらない。

 また、「打ち上げ花火」が釣りタイトルではなく、ちゃんと物語のテーマとしてしっかり組み込まれているのも良かった。花火が水平に見えるという理由から、形状を確かめるべく町外れの灯台に登っては何回も花火を見る。このシーンがまたいいのよ。


【こんなオシャレな田舎があるか!】

 突っ込み所としては、監督が「まどマギ」の人のせいか分からないが、町全体に風車が設置されていたり、校舎が円形(螺旋階段付で、生徒は全員窓ガラスを背中に授業を受ける)などとすっごいオシャレなのが気になった。美術としては面白いんだけど、本編に何か関係あるんじゃないかと勘繰っちゃうというか。典道くんの実家も謎リサイクルショップで妙に目が離せないというか。


【なぜそこでキラキラスターナイト!?】

 劇中で典道くんがゲームを遊んでいるのだが、なぜかファミコン新作でおなじみの『キラキラースターナイトDX』で心がざわめく。さらに言うとゲーム機がXBOX風だったり、実機にはない二人同時プレイをやったり、オタク特有の「ドラマとかアニメに出てくるゲームって絶対こんなんじゃないよね」がムラムラと……。


【まとめ】

 残念ながら映画.comだと星3以下となっている本作。多分評価を落としている点としては、さんざん言った「派手で爽快な展開がない」のと、あと見ようによっては投げっぱなしにも取られかねないラストだろう。話を追っていれば典道くんのアフターは何となく想像できるが、せめて1枚絵でもいいから明確なビジョンが観たかった、というのが本音だろうか。観た後のモヤモヤ感が拭えず、親子連れのちっちゃいお子さんや、坊主頭の男子高校生が面を食らうのも仕方ない!

 とはいえ、青臭いテーマを実直に描き切るストーリーや、謎のマジックアイテムによるタイムリープ描写、何より表題にもある「打ち上げ花火」がとにかく綺麗なので、感受性に自信のあるボーイズ&ガールズは自分の感性を信じて観てほしい作品だぞ。

 あと芸能人声優系だけど、典道くんの声がちょい硬い以外はあまり気にならず、ヒロインのなずなを演じた広瀬すずに関しては「やるやん」と思いました。
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