mixiユーザー(id:792410)

2018年10月18日01:24

210 view

『書を捨てよ町へ出よう』

10月8日@東京芸術劇場シアターイースト

東京芸術劇場「RooTS」シリーズ
『書を捨てよ町へ出よう』
作:寺山修司
上演台本・演出:藤田貴大(マームとジプシー)
【出演】
佐藤緋美 青柳いづみ 川崎ゆり子 佐々木美奈 召田実子 
石井亮介 尾野島慎太朗 辻本達也 中島広隆 波佐谷聡 船津健太・山本達久
【映像出演】
穂村弘(歌人)又吉直樹(芸人)佐々木英明(詩人)

東京芸術劇場「RooTS」シリーズは、21世紀の日本演劇のルーツとも言える、60、70年代のアングラ時代に生み出された優れた戯曲の数々を、時代をリードする若手演出家の感性と解釈にゆだね、その魅力を改めて見つめなおす東京芸術劇場のシリーズ企画だ。
今回の『書を捨てよ町へ出よう』は2015年12月に話題となった公演の再演。
個人的にはこの藤田演出のものは初めて観る。
この『書を捨てよ町へ出よう』は1967年に評論集として出版されたもの。1968年に演劇実験室「天井桟敷」によって演劇作品として発表された。
そして、1971年、寺山修司自身が監督・製作・脚本を務める同名の映画として公開された。
今回の作品は、その映画版に基づき構成されており、その中で藤田らしくというか、マームとジプシーっぽい、ある種の違和感やインスタレーション性を出すため、寺山の評論の言葉が使われている。
冒頭の眼球解剖のシーンは強烈な印象を与えるが、これは藤田がおそらくルイス・ブニュエルの「アンダルシアの犬」から想起したものであろうが、そんな風にある種のそういった前衛に纏わる印象をコラージュして示すといった手法も用いている。
また、印象的なのは、何もないところから組み上げられるパイプの足場。これが舞台の進行の中で変容していく。これも実に演劇的というかパフォーミングアーツ的で面白い。
組み上げる音がうるさく、セリフを妨げるほどであったのは狙いかもしれないが、少し閉口したけれど。
実験的ではあるけれど、そういった感覚とともに楽しめた。

この作品に関しては、2015年の初演時に日比野啓によって書かれた評論が非常に参考になる。
二重性の再構成:藤田貴大演出『書を捨てよ町へ出よう』
http://theatrearts.aict-iatc.jp/201601/3878/


1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2018年10月>
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   

最近の日記

もっと見る