内政での最大の失策がすぐに撤廃された

日本ではオバマの政策のネガティブ面は報じない空気だったので、オバマケアがオバマ政権の内政面での最大の失策で、大統領選に勝てなかった理由の多くを占めていると知らない人が多い。

オバマは経済面ではグローバル化をやり過ぎて工場が中国に流出したからアメリカ国内の産業が空洞化し、外交面では弱腰で軍をさっぱり動かさなかったからロシアとISに舐められた。

オバマの三大失策は、オバマケア、中国優先のグローバリズムのやり過ぎ、軍務のサボタージュだったと思う。



オバマケアとは、ひとことで言ってしまえば国民皆保険のことになる。

日本はとっくに国民皆保険だし、ほとんどの先進国は国民皆保険なので、皆保険と言ってもピンとこない人が多いと思うが、アメリカは医療の保険に入るかどうかは個人の自由だったので、医療保険に入れない人は医療費が高過ぎるから医者に掛からない傾向にあった。

日本は会社勤めが多く、会社が健康保険の約半額を負担しているから、医療保険が高額過ぎて払えないという印象を持っている人は少ないが、健保が全額負担だったらとんでもない額を取られる。

手取りで年収400万の会社員は、税や社会保障費が退かれる前の額面（労働力を売った売上）は600〜700万ぐらいある。

健康保険は基本は売上の１割だが、所得税と違って経費差し引き後の所得に税がかかるのではなく、売上の額の１割を持って行かれるので、手取りが400万でも保険料は60万取られる。
（アメリカの保険料率は違うかも知れないが）

一定以上の額を安定して稼いでいる人ならば、毎月５万の保険料を払うのもそう負担ではないが、職を失ったり、リストラで給与が下がると、前年分の保険料を払えない人も当然出てくる。

日本のような永年雇用ベースで、年功序列だから前年より給与が下がる確率が低い国ならば問題なく保険料を払えても、アメリカのように労働力の流動性が高くて転職が多い国だと、転職した先が保険料を企業負担しない職だったりすると、急に保険料負担が増す。

日本のように選択の自由が少なく、いったんレールに乗ったらそこから外れることが少ない国だと、高額な医療保険（健康保険）でも安定して払えるし、徴収する側も取りっパグレが少ないから問題化しないが、アメリカのように自由で選択肢が多くてその分リスクも高い国は、国民皆保険化するのが難しい。

国民皆保険化するのが難しい労務文化のアメリカで国民皆保険にしたオバマは、すごいと言えばすごいし、無謀で非現実的と言えばそうなる。そして結果としては失敗だった。



なぜ失敗するのかというと、公的な医療保険にすると、やたら高額な種類の医療も保険適用にすると全体の保険料もハネ上がってしまうので、保険診療対象の医療と保険対象外の医療を分けないといけない。

日本はそのやり方で上手く行ったが、アメリカはなんと言っても自由の国だし、貧富の格差が大きいし、州ごとにやることが違うので、それを全国同じ基準にまとめるのは無理がある。

保険が効かないエリアの病院に救急搬送されたら高額医療費請求されたとか、やりたい医療は結局保険適用外なので高い金がかかるとか、民間の医療保険と競合して民間の医療保険が値上がりするとか、制度のミスマッチによって医療が非効率になったりリスクが上がって医療費そのものが値上がりするとか、まずい面が多かった。

それに低所得者は控除にすると、保険料を払わない貧乏人（アメリカの場合は新参の移民が多い）のために、みんなが高額なオバマケアを負担しないといけないのはおかしい、という話になる。
要するに日本でナマポ不正受給に対する怒りの声があるのと共通した問題がある。



オバマケアの問題があるから、移民排斥的な空気が形成されたとも言え、元々は民主党の支持層だった中産階級がヒラリーに入れずトランプ支持に回った背景がここにある（しかもマスコミの世論調査には回答せず）。中産階級の懐に最もダメージが大きいから。

選挙期間中にオバマケアはダメだったと批判し、就任したら即座に撤廃して公約実行したのは大きい。

オバマの失政というか偏向した利益誘導を正すことをまず内政で実行したので、外交や貿易や通貨政策でも公約通りにやりそうだと期待が持てる。

オバマ政権は口先の美論とカッコつけばかりで、実に酷い政権だったと思う。それを丸々信じていた日本人は騙されやすいお人好しな国民性で、中国や韓国や朝鮮から見たらカモそのものだろう。



■オバマケア撤廃へ大統領令に署名　トランプ大統領
(朝日新聞デジタル - 01月21日 10:23)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=4394981