ニッポン国ＶＳ泉南石綿村

アスベスト被害を国に訴えた大阪泉南地区の人々に密着した魂のドキュメンタリー。
裁判で勝訴しても被告である日本国は上訴し、遂には最高裁まで持ち込まれる。そこに至るまでに何年もかかり、登場人物でもある原告の老人たちが次々と死んでいく。何という残酷なドキュメンタリーか。でもこれが現実。
原一男監督久々のドキュメンタリー映画はやはり熱くてぐらぐらと煮えたぎっている。
詰め寄られる若い官僚たちも、自分たちがやったわけでもないのに罵倒され、上司と板挟みにされちょっとかわいそうだ。最高裁では勝ったけど、自分の件は不問にされた女性が、悔しいけど立場として悔しいと言えない、と号泣しながら訴えるところの心苦しさったらない。
４時間近い上映時間も飽きることなく見入ってしまった。