7月21日、グランドピアノが届いた日。
今年で28年です。
5歳のとき両親が買ってくれたアップライトピアノは、18年弾きました。
その歴史を10年も超えたことになります。
私は車を買ったことがないので・・・
社会人になっていちばん大きな買い物。今でも最高の。
毎年、7月21日は誕生日のような感覚です。
でもお祝いというより、ピアノにものすごく感謝したくなる日。
28年前にピアノが届いたとき、最初に何を弾こうかすごく悩みました。
正確には・・・数日前からずっと悩んでいました。
お店でなく、自分の部屋で第1音を弾いたとき、どう聴こえるのか。
響きを確かめたい気持ちと、記念の曲になるという武者震いと。
そして選んだのが、ドビュッシー「ヒースの茂る荒れ地」
たった4ページの、静かでピアニスティックな曲。
自然、空、風。紫色のヒースの花。鳥のさえずり。
耕作や牧畜に向かない、寂しげな荒れ地。
それでも、この曲はどこまでも穏やかで明るい。
やわらかな光が射している。風景というより光景という言葉が合うような。
ドビュッシーの後期作品は、広範囲の音を紡ぐことが多いので
3段の楽譜もめずらしくありません。
すごく久しぶりだけど、練習せずいきなり弾いてみました。
音符は少なくても、響きの意識と強弱のコントロールがとても難しい。
でも、そんなことは気にせずに。
懐かしい響きとともに、28年前の夏の日を思い出しました。
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