すごい本だ。まさに真剣勝負としての対談。
本書は、普通の意味での面白い対談、などではない。会話はほとんど噛み合っていない。
両者は互いに一歩も譲らず、自身の視点を貫いて、必要な成果をあげようとする。
目取真は、現実以外に何があるかと、辺見に対しても仮借なく蒼白い刃を突きつけ、辺見は、そうした目取真の、孤独で切羽詰まった身振りの奥にあるものにこそ価値を見出す。
なぜなら、辺見にとって、もはや現実とは、如何ともしがたいもの、どっちにしろ碌なことにはならないことが確定した、度し難い現実に他ならないからだ。
だから辺見は、個人の中に現れてくる、この暴力的な力にこそ、一条の光を見ているのではないか。
何かを生み出すとか創り上げるといった、わかりやすく前向きな力ではなく、すべてのものを焼き尽くさずにはおかない暗い怒りの情火の中だけに、ある種の「世界の転生」の可能性を、見ているのではないだろうか。
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