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2018年07月18日19:10

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『Strange dream world』

No.0244

特別編 『Feels Of Heaven』

Keep running after its form and arrives.
The soul which never dies is revived again by sympathy with you.

When the shadow is piled, can I meet you again?

〜対訳〜

その姿を追い続け、そして辿り着く。
決して朽ちない魂は、お前との共鳴で再び蘇る。

影が重なる時、またお前に逢えるのだろうか。

Diary Serial Special Side Vol.14
Presented By : MARL

(Vol.1 Falling Down)

午前4時前、イースト・パットニー着の地下鉄から降り、実に数時間振りの外の空気を吸う。
どうもこの辺りの空気には馴染めないが、駅から出てすぐのタクシー乗り場で、
私をカモにしようとしているのか、やたらと声をかけてきやがる運転手に、
「だから、乗らねぇっつってんだろ!!」
と、一喝してやると運転手はようやく諦めてくれた。

取り敢えず用を足しに行くも、トイレの個室にはいつまで経っても鍵が開く気配が無い。
仕方なく我慢しながら休憩の出来る場所を探してみる。
(こんな時間から酒かよ、酒乱には気を付けねぇと)
現地のパブにはどうしても足を踏み入れるのに抵抗がある。
私のような顔がそんなに珍しいのか、パブの中の客達は睨み付けてくる。

無事に用を足し、店主に礼を言いかけたその時、
後頭部に何やら刺激的な感覚が……。

     ◇

午後2時前、影一つ無い天気だがクソ暑い。
太陽が路面を照らし続けて、今にもこっちがケバブのように焼かれそうだ。
先程ぶっ叩いてきやがった輩共、私の何がそんなにイラついたのか知らんが、
次、ぜってぇに二度と立てねぇようにしてやる。

強い刺激を受け続けた後頭部から滴る血、
私の意識は朦朧としてきやがった。
周りの奴等は、そんな私を見て嘲笑ってやがる。
もうどうでもいい、殺せよ。


……
………

……随分と長い間気を失っていたような気がするが、
奇跡的に私は目を覚ました。
先程のパブの目の前という事には変わりない。
だが、後頭部を殴られたあの刺激的な感覚はいつの間にか消えていた。
確かに血が滴るほどの強烈な感覚に襲われたのだが、
私の身体には傷一つ付いていない。

陽は沈みかけ、辺り一帯が夕焼けの紅に染まる頃、
私の目の前を大きなバンが走り去っていく。
中の様子は、まるで護送車のように格子が掛かっており見えない。
別に特段気にする事も無かったのだが、
バンを運転していた奴が、先程殴ってきやがったあいつ等の内の一人だった。

私は少ない荷物を持ってバンを追いかけようとしたが、
幸運な事に、そのバンは近くのガソリンスタンドに停車した。
残り少ないガソリン補給の為に立ち寄ったのでは無く、どうやら用を足しに。
用を足すなら、さっきのパブで良かったんじゃねぇか、と思うも、
私が先にトイレに入っちまったもんだから、
いきなりキレて殴りにかかってきたのか? いや、でも随分と時間も経っているし、
それ以上は深くは考えずにしておくか。

バンの中には結構な人数が乗っていたらしく、あいつ等は交代でトイレに駆け込んだ。
で、そのまま発車するのかと思いきや、
後部座席の一人の下っ端っぽい奴が、何やら中の連中ともめている。
そして、もめていた最後の一人がバンから降りてくる。

まさかの女の子。
ああいった連中とは不釣り合いの10代にしか見えない女の子だ。
ただ、その子の身体には腰縄が付けられ、
まるで囚人のように、両手は手錠で繋がれているし、手錠は腰縄で固定されている。
更に逃げないように両足に足錠で繋がれ、
首には何かのセンサー付き(多分、逃亡防止)の首輪までしてある。

私は奴等に見つからないように事の成り行きを見守っていた。
すると、その子は奴等に何かを言ったのか、
奴等はその子をぶっ叩くわけでも無く、何かを耳元で囁いている。
耳元で囁かれたその子は、何かに怯えるような表情に変わり、
突然、繋がれた両手をわなわなと震わせたかと思うと、
次の瞬間には激しく痛がっているではないか。

別に何かをされたわけでも無いのに、
自由の効かない両手を優しく自分で擦って落ち着かせている。
遠目からではよく分からなかったが、
その子の上着の下に着ているパーカーから僅かに覗く両手、
白の長めの袖のように見えたが、よく拘束服のような感じのものでは無く、
手の出せない、袖口が完全密封してあるサイズの大きい服のように見えた。

バンはその子を乗せて走り去っていった。
私はとりあえず最寄りの駅まで向かい、そこから本当は乗りたくなかったタクシーを捕まえた。
行き先からすると、あいつ等は西へと向かった筈。
タクシーは、私の指定通り西へ向けて走り出した。

【本編後記】
何だか旅行コラムみたいな序幕になったが、
もう既にこの夢の伏線は張っておいた。
敢えてすぐに気付く仕掛けにしておいたが、
“この夢の本当の結末”に気付くまでには、過去の連載史上最も時間を要する。

to be continued……
(特別編 『Feels Of Heaven』(Vol.2 Sharp Knife)へ続く。)
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