私のもってるたくさんのボタンの中から
あなたは赤いボタンが欲しいと言った
たくさんのボタンがついた服を着ている
何色の服だろう、ボタンが重なり見えない
それに重たい
鎧のよう
あなたの望んだボタンはコレ
迷うことなくわかるの
だって本当は
望みを言い当てられただけだから
そっと力を入れて引きちぎる
瞬間、全てのボタンが
パラパラカラカラ
音をたてて床一面に踊った
そして全てが静かになった時
部屋は色とりどりのボタン
白い服の私が
手のひらを差し出した
あなたはこちらを見つめたまま
優しげな唇からボタンと同じ色の舌を伸ばした
赤いボタンが飴玉のように思えて
ううん、飴玉だったのかもしれない
それはあなたの体に入ってしまっのだもの
私がそっと舌に乗せると
あなたは指ごと飲み込んだ
コミュ『【詩】を書く人』、『甘い毒』投稿
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