『２００１年宇宙の旅』が生涯の１作であり、リアルタイムで見られなかった７０ミリ映画に大いに興味がある自分にとって、映画の神様からの贈り物であるかのような『２００１年宇宙の旅 70mm版特別上映』を、興奮とともに見て来ました。
もとは『ダンケルク』編集中のクリストファー・ノーラン監督が、同じスタジオで４Ｋスキャン中だった『２００１年』の７０ミリフイルムを見たことから、その映像と音声のクオリティに驚き、世界巡回上映が実現した企画です。
小学生のときにＴＶの深夜放送（正月にやってた”年忘れ映画劇場”）でこの映画に魅せられて以来、ソフトが出るたびに買い増し、１０年前にリバイバル上映された３５ミリ版を見るために上京したものの（新世紀特別版）、まさかオリジナルの７０ミリフイルムで見られるなんて夢にも思っていなかった機会でした。
飛行機で上京して羽田から直行、見終わったあと新幹線を乗り継いで帰るという強行軍でしたが、『２００１年宇宙の旅』を７０ミリで見られたという興奮は、今もって覚めません。
７０ミリ映画を上映できる、国内最後のシアターとなった国立映画アーカイブとスタッフの皆さん、映写技師の方には感謝です。
満員の観客席からは、上映前・上映後に拍手が巻き起こりました。
★今回、国立映画アーカイブで上映されたバージョンのスペックは以下の通りです。
・1968年に製作された70mmフイルムを、デジタル加工を施さずに新たにニュー・プリント
・音声は公開当時の6ｃｈサラウンド（ＤＴＳ）
・世界を巡回するフイルムのため字幕スーパーを焼き付けず、字幕用の小型スクリーンに字幕を投射
・前奏曲、休憩、幕間音楽、終曲も1968年の公開当時の手順で再現（ワーナー・ブラザーズからの上映指示書を資料として観客にも配布）
・総上映時間は１６４分（どのソフトでも再現されていない時間）
・長瀬記念ホールOZUでの上映のため、スクリーンのサイズはシネラマ上映館の1/4
・国立映画アーカイブ研究員による前説つき（面白く、これにも拍手が起こっていました）
…とにかく映像が濃密で濃厚でした。７０ミリの大型フイルムに焼き付いた映像情報を濃縮して映写しているので、特に黒と白の密度の高さは驚異的です。
音声もまた、10年前に見た「新世紀特別版」（デジタル音声上映）とは比べ物にならず、艶があり、音の伸びがまるで違います。
あとはこのフイルムで、シネラマスクリーンで見られたらどんなに良かったかと思うのですが、それは敵わぬ夢です。来週から、ＩＭＡＸシアターによるデジタル上映が行われることがせめてもの救いです。
★★★★★。一生ものの体験でした。
（画像スクリーンは上映前のもの。一応、湾曲はしています。下部の小スクリーンが字幕用）
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