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2018年10月16日01:32

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定説は嘘だった

ストラド300年目のキセキ展。
ストラドが21本展示されているとあっては見に行くしかない。
一度にそんな数のストラドを見る機会なんてまずないから。

フォト


みんな形が違うじゃないか。定説ではストラドは最も中庸なスタイルの楽器を作ったということになっているらしいけど、定説が正しければみんな偽物だ。
全部本物だとしたら、定説は間違っている。

さてどっちだ?

デルジェスはフラットなアーチの楽器を作った。
ストラドの師匠のアマティーは比較的隆起の高い楽器を作った。
ヤコブ・シュタイナーはもっと隆起の高いハイ・アーチの楽器を作った。誰かの本ではハイ・ファットと書かれていたなあ。

デルジェスに関しては普通の隆起の高さの楽器も作っていた。私の数少ない経験だけど。

ヤコブ・シュタイナーに関しては、これも私の数少ない経験だけど、特別にハイ・アーチというほどではないような気がする。
このあいだ私が楽器制作のモデルにした、マントヴァのピエトロを上回るような高い隆起の楽器ではない。ヴェネチアの博物館で2本見ただけだけど。普通のヴァイオリンという印象だった。

アマティーはじつはかなりフラットな楽器も作ている、というのは本からの受け売り。

で、話を戻すけど、ビックリするようなハイアーチの楽器が二本あった。表板の隆起が高くて指板に触れそうになっていた。それ以外の楽器でもかなりアーチが高いものがあった。
ストラドって中庸な、ハイ・アーチでもなくフラットでもない楽器を作っていたんじゃないの?
今回の展示の楽器を見ると1690年代から晩年の1730年代までの制作の楽器が並んでいたけど、隆起は様々、しかもアウトラインだって同じ人が作ったの?というくらい様々。
1本だけニックネームがつかない楽器があったけど、あとはじつはかなり有名なニックネームの楽器だったから、まさか偽物ということはないはずだ。

あの定説は何だったんだろう。何を根拠にかたられていたのだろう。
アマティーの弟子だったストラドは独立してから徐々に独自の形、隆起を作り出したなんてことを本で読んだけど、展示されていた最晩年の楽器を見ると、実はものすごく隆起が高い。

逆じゃん!


某ヴァイオリン職人の人のブログを見ると、ストラドは生涯色々な形、板厚の楽器を作っていて、いわゆる定番なんてない、と書いてあるけどそれが本当なんだろうなあ。

モダン以後現在まで、ある程度楽器の形の定番が出来ちゃって(定番を作っちゃって)、それが正しい、しかもそれはストラドを手本にしてるんだなんて言われているけど、違うみたいだなあ。
おそらくある時期からヴァイオリン制作学校ができて、徒弟制度の中で楽器制作を教わるんじゃなくて、学校教育として制作を教えるようになったときに、教えやすいようにお手本を作っちゃったんだろうなあ。で、これもおそらくだけど、ストラドのどれかをモデルにしたんだろうなあ。
お手本通りにきちんと作れば良し。お手本に外れたら成績が悪くなっちゃう。

それで時が経てば、お手本のつくり方しか知らない制作家だけになっちゃって、それが正しい、過去の制作家はちゃんとした作り方を知らなかった未熟な、或いは素朴な制作家ということになっちゃったのかもしれない。


今日の展示を見る限り、ストラドをお手本にするにしたって、いろいろな形があるし、しかもみんな音がいいということになってるんだから、あんまり堅いことを言わないでもっと自由に作ったっていいんじゃないか、と例によって恐れを知らない私は思った。

というのが今日の結論!




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