ネタバレと個人的見解が全開なので、ご理解の上ご覧下さい。
LUNA SEA LIVE TOUR 2018
The LUV -World left behind-
3月17日(土)
広島 上野学園ホール
造りは古いが音響が良い事は広く知られているらしく、タクシーの運転手まで自慢気に話してくる程なので期待大。
座席は25列中央下手寄り。
隣は同世代の感じの良い男性で、反対側の隣は空席という動くにしろ集中するにせよ全開でいける環境だ。
定刻から手拍子が始まり、5分程で開演。
1.Hold You Down
5人の存在感を十分に知らしめるようなバランスのとれた構成が光る。
INORANはメンバー全員が主役となるような曲を作るのが天才的に上手い。
新曲に慣れた観客達は早くも手拍子を始めるが、更にBメロでSUGIZOが手拍子を要求するので会場のボルテージが一気に上がる。
セトリAパターンでは本編一曲目、Bパターンではアンコール一曲目に固定。
アルバムリード曲の名に違わぬLUNA SEAの新たなるオープニングナンバーとして燦然たる輝きを放っている。
2.TONIGHT
どんなジャンルに於いてもシンプルで受け入れ易いという事は強力な武器になるのだと痛感させられた。
元気が有り余っていそうな男性ファンから次々と歓声が湧き起こる。
瞬間的な高揚感で言えば冒頭にピークが来るヘドバン曲には及ばないが、曲を通してどれだけの興奮と笑顔を引き出せるかという点に於いてTONIGHTに並ぶ曲は皆無である。
3.Déjà vu
この曲の前にはMCを挟まないでもらいたいというのは前々から書いている事だが、まぁ細かい点は置いておくとする。
爆発力と独創性、更に信頼性をハイレベルで兼ね備えている事から、正にLIVEに欠かせない存在として君臨し続けている名曲。
序盤にDéjà vuが演奏されると、早くもチケット代の元を取ったような感覚がある。
4.Rouge
ヘドバンが出来そうで出来ないという微妙なリズムであり、更に初披露の際に拳を要求した事が尾を引いて観客がどっち付かずのリアクションをとっているのが現状。
それに不満があるのであろうRYUICIが他のどの曲よりも激しいヘドバンをするようになったという面白い展開に繋がったので結果的に観客のテンションは上がるのであった。
5.Limit
今作での唯一のシングルにも関わらず日替わり扱いとなっているやや不遇な曲。
特に印象的なリフがある訳でもなく独創的な表現も一部に限られるが、それが狙いなのだと思っている。
兎にも角にもサビでの解放感を重視した印象。
サビ前にブレイクし、ベース音から始まる怒濤の展開が全て持って行ってしまう。
サビでの爆発力は再結成後の作品群では最強の部類に入る。
6.Brand New Days
演奏陣のキャラクターを際立たせるフレーズが少なく、メインのグルーヴからはみ出してくる音もほぼ無い。
それは誤魔化しが一切効かないある意味通好みの構成とも受け取れる。
アウトロでのキメが連続するパートは秀逸だ。
メンバーを照らすのは白の照明のみで、そこに5人が立っている事の価値を実感させてくれる上手い演出だと思う。
7.誓い文
作曲者であるSUGIZOが『危険な程にポップ』と表現している事からも分かる通り、LUNA SEA史上最もポップなナンバーと言える。
昨年末のLIVEや今ツアーの序盤に於いて、SUGIZOは賛否両論が上等だと話したり、殻を破るんだというMCをよくしていた。
そこからはポップであるが故に異端となっているこの曲を認めさせてやるんだという彼の反骨精神が垣間見える。
8.gravity
LUNA SEAの楽曲の中でNo.1の完成度である。
もうこの一言で表現するのが最も適切ではないかと思う。
それ程の名曲なのである。
自分はLUNA SEAを聴いた事のない人に一曲薦めるとしたら迷わずgravityを選ぶ。
9.闇火
INORANのアコースティックギターとSUGIZOのヴァイオリンが完成された世界観を構築し、それをJのベースが現実のものとする。
タイトル通り真っ暗なステージ上に炎が揺らめく演出もこの上なくマッチしていた。
そこに真矢のドラムが加わり、サビでは照明が一気に点灯すると同時に度肝を抜かれるとはこういう事なのかという激烈な音圧が会場内に響き渡る。
その音圧にたった一人で対抗するRYUICIは間違いなく化け物。
ただでさえ咽を消耗する曲なのにハイトーンで声を張るギリギリの場面でも表現力を高める妖艶なアレンジを加えてくる。
ドラマはまだ終わらない。
ラストサビで真矢がスパートをかける場面はabsordのそれと比べても更に上で、あのFOREVER & EVERのインパクトと同格。
ただただ、凄い。としか言いいようがない。
10.I for You
RYUICI、SUGIZO、INORAN三人でのアコースティック形式のステージは定着しつつあるが、今回は代表曲であるI for youを全編に渡って歌とヴァイオリンとアコースティックギターとで表現してみせた。
リズム隊が不在でもINORANはリズムを完璧にキープしていたし、SUGIZOはギターソロのパートまで一部ヴァイオリンで弾いており、LUNA SEAのツインギターの底力を見た気がする。
三人でここまでの感動を与えられるとなると、いよいよLUNA SEAは別格だと言わざるを得ない。
自分が今ツアーで初参加した名古屋公演では、あまりに素晴らしい内容にキャパオーバーとなり頭を抱えてしまう観客さえ居たくらいだ。
11.Ride the Beat,Ride the Dream
CD音源を聴いた段階では、ドラムソロとダンスチューンがここまでマッチすると予見出来た人は少ないだろう。
クラップや声出しを要求しつつも変拍子をガツガツと組み込んでいくあたり、真矢は今もなお才能の底を感じさせない。
ツアー序盤ではまさかジャンプはしないだろうと思っていたが、現実として広島では多くのSLAVEがジャンプしていた。
これぞ紛れもない曲の進化だ。
12.J Bass Solo
今ツアーからは男臭いベースソロからスタイリッシュな形へと変化を遂げた。
こちらもドラムソロ同様にツアーが消化されていく度に馴染み深いものとなっている。
Brand New Daysで用いられたような後方からメンバーを浮かび上がらせるような白の照明が用いられ、観客席からはオイオイという荒々しい歓声が上がる。
『広島を盛り上げに来たぞぉ−!』
『分かってんだろ?限界超えようぜぇー!』
Jが言うだけで面白い程テンションが上がる。
13.IN FUTURE
GO!からのリズムパターンがBLUE TRANCEPERCYともBe Awakeとも違うという事に気付いたSLAVE達がザワつき始め、自分を含めた何人かが早くも歓声を上げる。
攻撃性では中期以降の楽曲では随一。
真っさらな精神でヘドバンを楽しむ最狂の時間の幕開けだ。
Aメロでも声出しのパートがあるのでその後のヘドバンもイントロと変わらぬテンションで突っ切れる点は特筆もの。
最後はスパッと終わるので、このテンションは次の演奏曲まで繋がる事になる。
14.JESUS
IN FUTUREからのJESUS。
こういう事はやってはいけない。危険だ。
この流れでリミッターを解除出来なければ、もう金輪際チャンスは無いというレベル。
今ツアーの喜ぶべき点の一つに、A・B両パターンのセットリストでもJESUSを演奏する事が挙げられる。
(ただし、一日だけG.が演奏されている)
本編後半にJESUSが演奏されるのはAパターンのみで、IN FUTUREは日替わりで3分の1の確率なのでこの二曲が続いたのはこの日までは一度しかなかった。
それだけに、心から嬉しく、心から狂えた。
15.DESIRE
ヒートアップした会場内を更に盛り上げる疾走感溢れるナンバー。
終始ベースが引っ張る展開なのでJのアクションが大きい。
ダイナミックな演奏スタイルに惚れたのは自分だけではないはず。
ギターソロからブレイクして観客の声を求めるまでの展開も良いし、次に繋がるようにスパッと終わるのもまた良い。
16.TIME IS DEAD
もう一丁行こうか〜!と言えばこの曲。
真矢の掛け声でテンションが上がる。
Cメロ→Aメロ→サビ→Cメロと続いていく独創的な構成で、キメが多くメンバーのアクションも大きいので耳でも目でも首でも楽しめる。
17.ROSIER
約30年に及ぶヴィジュアル系の歴史の中でも最重要曲の一つであり、バンドを志す若者達にどれだけの希望とイマジネーションを与えたのか想像もつかないレベルの名曲中の名曲。
オリジナルメンバーのLUNA SEAが演奏するROSIERを聴けるというのは今の時代を生きる自分達の特権だと思うし、その場に立ち合える事を光栄に思う。
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アンコール
40代、50代(推測)のSLAVE達が立ち上がってアンコールの声出しを行っているのだから驚きだ。
他のアーティストのLIVEではなかなか見れない光景である。
SLAVE(奴隷)の名は伊達ではない。
自分も微力ながらアシストさせてもらった。
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1.So Sad
モニターにはセピア色の木漏れ日の映像が映され、穏やかな雰囲気の中で曲の世界観に陶酔する事が出来る。
RYUICIが原曲を書き、それをSUGIZOがアレンジしたという事で、ヴォーカルの表現力に驚くばかりではなくLUNA SEAらしさも随所に感じられる至福の時間であった。
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※メンバー紹介
真矢は短いソロの後にスティックを投げ上げてキャッチするというネタを披露。
1、2回目は失敗し、3回目でキャッチするという展開がコミカルで会場が和む。
Jはベースを鳴らして応え、発言は無かった。
それなのに盛り上がるのは流石である。
INORANもギターを鳴らして応える。
何か喋って欲しいのか?という素振りを見せるが、喋らずに笑顔で引いていく。
SUGIZOは地声でヒロシマァ−!と叫んだかと思えば、観客席を指差して上手、中央上手寄り、中央下手寄り、下手をそれぞれヒ!ロ!シ!マ!と命名してかなりゴキゲンな様子。
それを見たINORANがRYUICIを紹介する際にリュ!ウ!イ!チ!と大声で叫び、それに対抗するようにSUGIZOもリュ!ウ!イ!チ!と叫ぶ。
紹介されたRYUICIは『杉ちゃんは、このツアーで殻を破った感があるよね』と話を振り、SUGIZOは『高熱を出した時に色んな細胞が死滅しました』と返す。
(ツアー初日、二日目の松戸公演はSUGIZOがインフルエンザに感染した為延期となった件をネタにした)
その後RYUICIは
『俺も小さい頃は広島カープのキャップ被ってたんだよ』
『おじいちゃんがくれて、赤が好きだったから凄く気に入って』
・・・と、可愛らしいエピソードを披露。
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2.PREICOUS…
INORANの表現力が特に光る激しくも美しい名曲。
インディーズ時代にこれだけ完成度の高い曲を自力で制作し演奏していたというのは驚くべき事だ。
ダブルアンコールが無い事は分かっているので感情の全てをぶつけるつもりで没頭した。
そして、こんな素晴らしいLIVEの締めはリミッター解除のヘドバンに限る。
3.WISH
メンバーが所定の位置を無視してステージ上を動き回るサービスタイム。
SUGIZOが客席に降臨し20列目付近でギターソロを弾いたのですぐ近くで見る事が出来た。
メンバーが近いと単純に嬉しいものだ。
INORANのソロが終わり照明が再点灯する際にモニターに映し出されるLUNA SEAの文字を見ると感動してしまう。
何かに憧れるとはこういう事なのだと心の底から嬉しくなった。
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