■橘玲「80's エイティーズ ある80年代の物語」2018年1月太田出版刊
行きつけの、紀伊國屋書店店頭で、手に取った本を読んだ。
著者は、「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」(幻冬舎)や「言っては
いけない 残酷すぎる真実」(新潮新書)などのベストセラーで知られる人で、
書店に行くと平積みされているから、もちろん知っていたが、ベストセラー
狙いのハウツー本だと、ちょっと蔑んでいたので、スルーしていた。
でも、本書は、若いころは何をしていたのか、語っていない著者が、自分を
さらけ出していたような気がして、手に取ってしまった。1959年生まれ
で、1954年生まれの私と、近い世代だしと。
で、読みだしたら、止まらなくなって、一気に読んでしまった。
「あの頃」の風の匂いが、ふと、鼻先にほのかに匂ったりした。
惹句をちょっと長いですが、紹介しますね!
“本書は、著者が1980年代はじめ、「この世界の真実は社会の底辺にある」
と思っていた大学時代から、阪神大震災、オウム地下鉄サリン事件のある
1995年までをまとめた自伝的回想録的な物語である。”
“マクドナルドの清掃バイトから出版業界の最底辺へ、やがてジャーナリズム
のまっただ中に至った著者。バブルがはじまり無残に崩壊するまで、何を体験し、
何を感じ、何を考えたのか。”
“自ら投企したことと、バブルに翻弄されたさまざまな人物の群像とその行方。
「億万長者」になる方法を語る作家になる前の、長い長い‶80年代"の青春とは?”
“日本がいちばんきらきらしていたあの時代、
ぼくは、ひたすら地に足をつけたいと願った。”
“その後ぼくは、「世の中の仕組みはどうなっているのか」とか、「どうやった
らもうちょっとうまく生きられるようになるか」というような本を何冊か書くが、
そのとき気づいたことを最初から知っていればまったくちがった人生になったと思う。
でもそれは、ものすごくつまらない人生だったかもしれない。”
目次と小見出しの抜粋も紹介。
■Prologue No Woman,No Cry
■1978-1981 雨あがりの夜空に
・ほとんどの場合、大人の言っていることは正しい
・君がなんにもできないことくらい、みんなわかっているんだから
■1982 ブルージンズメモリー
・「これじゃヤバイ」とはじめて思った
・権力がどんなものか、ほんの少しだけ理解した
■1983年 見つめていたい
・雑誌づくりなんて気合なんだよ
・社会のルールを踏みにじるのはいつだってぞくぞくする
■1984年 雨音はショパンの調べ
・バブルの足音が近づいていた
・東京の街がいちばん輝いて見えた
■1985-1995 DEPARTURES
・出版差し止め仮処分事件
・サティアンの奇妙な一日
■1995-2008 マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン
・ひとはけっきょく同じことを繰り返しているだけではないのか
・夢は人生を蝕んでいく
■Epilogue Redemption Songs
お気づきだと思うが、章のタイトルは、すべて、当時流行った音楽。
若いころ聴いていた音楽を、久しぶりに聞くと、そのころの風の匂いが
蘇ったりしませんか?
本書を読んでいて、私は、蘇り、鼻の奥がツンとしました。
著者は、ここに書いてある時代、編集者として、いくつも会社で、走って
いたのです。いわば著者の青春グラフティーです。
でも、誰もが、自分の青春グラフティーありますよね♪
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