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2018年10月22日16:49

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派閥政治でいいじゃないか 大谷次郎

 下記は、2018.10.22 付の産経ニュース【一筆多論】です。

                        記

 「あなたのところとケンカになることだってある。覚悟しておいてよ」

 “参院のドン”と呼ばれた自民党の青木幹雄元参院議員会長は9月の総裁選をめぐり、森喜朗元首相にそう伝えていた。投開票の半年以上も前のことだった。

 青木氏は政界引退後も党内第3勢力の竹下派に隠然たる影響力を持つ。「あなたのところ」とは森氏がかつて率いた細田派のこと。最大勢力で、安倍晋三首相の出身派閥でもある。2人のやり取りは派閥抗争を予感させるものだった。

 青木氏は言葉通り、森氏が支える首相の対抗馬、石破茂元幹事長を推す。そして、竹下派幹部に「石破氏支持」でまとめるよう要請した。

 だが、細田派をはじめ、麻生派や岸田派など党内7派閥のうち5派閥が首相支持で結束した。逆に「鉄の団結」を誇った竹下派は衆参で足並みが乱れて分裂。大半が首相支持に回った衆院竹下派からは青木氏に対し「古い派閥政治だ」などの声が上がった。

 推薦人が集まらず出馬を断念した野田聖子前総務相も「私を支持したいという議員もいる。そのボス(派閥領袖(りょうしゅう))に頼むが、みんなかたくなだ…」と漏らしたことがあった。

 そもそも「3人寄れば派閥ができる」といわれる。かつて自民党の派閥政治は「金権政治の温床」「国民不在の権力闘争」などの弊害が指摘された。幾度となく「派閥解消」が叫ばれたが、解消されていない。今後もなくならないだろう。

 もっとも派閥に全盛期の面影はない。小選挙区制度導入などで弊害とされた部分は目立たなくなった。

 一方で、自民党の原動力だった派内で議員同士が切磋琢磨(せっさたくま)するリーダー育成機能まで失われている。領袖に必要とされた集金力や情報収集力だけでなく、調整力、発信力も落ちたように映る。議員が小粒になったといわれる一因だろう。

 実際、「領袖=総裁候補」という派閥は現在、岸田派と石破派くらいだ。安倍首相も6年前の総裁選では所属していた町村派(当時)の領袖、町村信孝元外相が立候補しているのに、派閥横断グループを支持基盤に出馬し、決選投票の末に総裁に返り咲いている。

 リーダーが育っていれば長老らの言動に関係なく、求心力が働く。青木氏もそうした事情は分かっているようで「うち(竹下派)には総裁候補がいないのだから、対応が割れても仕方ない」と何度も語っていた。

 派閥が持っていた若手議員の教育機関としての役割まで低下している。無派閥議員が増え、“魔の2回生”といわれたように「国会議員としての作法」がなかなか身についていない。

 首相や石破氏の次の世代は小選挙区しか経験していない議員ばかり。次の日本のリーダーを決める「ポスト安倍」選びは派閥、グループのあり方が問われる。

 派閥の功罪を見極め、単なる数合わせ、単なる「選挙の顔」選びにならないためにも、中選挙区時代の派閥政治を体現した「長老」たちには意気軒高でいてほしい。反面教師にもなるのだから。

 派閥政治だって、いいじゃないか。(政治部次長兼論説委員)


 https://www.sankei.com/column/news/181022/clm1810220004-n1.html
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