【社説検証】南北首脳会談 「非核化おきざり」と産経 朝日は「融和の成果」強調

　下記は、２０１８．９．２６ 付の 産経デジタル の記事です。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　記

　韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との３度目の首脳会談は、文氏が３日間にわたって訪朝し行われた。非核化で成果が乏しいとみたのは各紙共通だが、平壌市民の熱烈な歓迎や２人の親密な交流、軍事、経済、スポーツなど多岐に及ぶ合意をどうとらえるかで、見解は分かれた。

　「冷戦の残滓（ざんし）といわれた南北が対立の歴史を乗り越え、和解を深める」。朝日は南北融和の進展だと歓迎した。「空港の閲兵では北朝鮮の軍幹部が文氏を『閣下』と大声で呼び、初日に北朝鮮の心臓部である朝鮮労働党庁舎に招き入れた。かつて韓国を『米国の傀儡（かいらい）』として相手にしなかったことを考えると隔世の感がある」と評した。

　金氏は文氏を空港で出迎え、２人はオープンカーに乗り込み、着飾った市民が切れ目なく沿道を埋める中、パレードした。一連の行事を「度を越えた友好の演出」とみたのは産経である。「文氏は『歓待に感謝する』と述べたが、独裁者と並んで歓声を浴びる光景を異様と感じなかったのだろうか。金氏のペースに巻き込まれては危うい。米朝交渉の『仲介役』を自任する文氏が、金氏擁護の態度を取ることが、非核化を遠のけている」と批判した。

　両首脳は会談を通じて、非核化への意欲を表明し、共同宣言は、北朝鮮北西部にある寧辺の核施設と東倉里のミサイル関連施設の「永久的な廃棄」に言及した。だが、寧辺については、米国が「相応の措置」を取ればとの条件が付いた。北朝鮮が保有する核兵器や核関連施設の申告、廃棄に向けた行程表提示にも踏み込まなかった。産経は「進展があったとは、とても言えない」と断じ、朝日も「非核化問題を棚上げしては真の改善は望めない」と指摘した。

　米国による「相応の措置」とは、北朝鮮が要求する朝鮮戦争の終戦宣言とみられる。読売は「核兵器を温存したまま、非核化の措置を小出しにして、米国から体制保証などの見返りを引き出そうとする戦術に変わりはない」との見方を示し、日経は「半島に脅威が残り、北朝鮮への経済制裁を続けている現状では、終戦宣言を先行させるのは望ましくない」と論じた。毎日は「相応の措置」が南北の共同宣言でうたわれたことについて、「核開発を進めて北東アジアの緊張を高めた側が行動対行動の原則を持ち出す論理に、韓国が理解を示したことにならないか、懸念が残る」と苦言を呈した。

　共同宣言にはこのほか、軍事的緊張緩和の推進や、鉄道、道路の連結、南北経済協力事業の開城工業団地と金剛山観光の再開、２０３２年五輪の南北共同開催の誘致などが盛り込まれた。朝日は「南北融和の面では豊富な成果だ」とし、東京も「首脳間で信頼関係が積み重なっていることを実感させる内容であり、歓迎したい」と評価した。

　これに対し産経は、「経済協力事業の再開は、国連安全保障理事会決議に基づく制裁が解かれることが前提だが、その状況にはない。経済協力を議論すること自体、北朝鮮包囲網を弱めかねない」とし、南北協力へ前のめりとなることにクギを刺した。読売も「北朝鮮への抑止力低下を招かないよう、細心の注意を払う必要がある。懸念されるのは、南北の経済協力によって、北朝鮮制裁の抜け穴が広がることだ」と説いた。

　米朝非核化交渉の膠着（こうちゃく）状態を打開できるかどうか。舞台は平壌から、日米韓など各国首脳らが総会演説のため顔をそろえた国連へと移った。（内畠嗣雅）

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　■南北首脳会談を受けた主な社説

　【産経】

　・非核化避ける歓待なのか

　【朝日】

　・和解の機運を広げたい

　【毎日】

　・米朝停滞下での「つなぎ」

　【読売】

　・非核化進展と見るのは早計だ

　【日経】

　・南北協力は非核化との両輪で進めよ

　【東京】

　・非核化後回しせずに

　〈注〉いずれも２０日付

　https://www.msn.com/ja-jp/news/national/e3-80-90-e7-a4-be-e8-aa-ac-e6-a4-9c-e8-a8-bc-e3-80-91-e5-8d-97-e5-8c-97-e9-a6-96-e8-84-b3-e4-bc-9a-e8-ab-87-e3-80-8c-e9-9d-9e-e6-a0-b8-e5-8c-96-e3-81-8a-e3-81-8d-e3-81-96-e3-82-8a-e3-80-8d-e3-81-a8-e7-94-a3-e7-b5-8c-e6-9c-9d-e6-97-a5-e3-81-af-e3-80-8c-e8-9e/ar-AAAEq2f#page=2