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2017年05月01日23:30

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大徳寺・花やしき・宇治川のつり橋

三題噺みたいなタイトルになったが、薫風もうららかな4月28日、京都と宇治を回ってきた。

恒例の「春の京都非公開文化財特別公開」が開催中。
18か所で開催しているが、とても全部は見切れないので、まずは狩野探幽の襖絵を見ようと大徳寺へ。
京都駅前から大徳寺を通るはずの206番のバスに乗ったが、このバス、大徳寺の少し手前が終点だったため、地下鉄北大路駅から寺まで歩く羽目に(^^;

大阪に引っ越してきてから、京都のお寺はいろいろとめぐったが、大徳寺はその中でもかなり広いのではなかろうか。
鎌倉末期創建の禅寺だ。
聚楽第の遺構から作られたきらびやかな「唐門」(国宝)、枯山水が前庭に広がる方丈(国宝)、そして狩野探幽筆による方丈内の襖絵は、すべて重要文化財。
描かれた水墨画は、まさに名前のごとき幽玄の美だ。
ただ、状態はだいぶ悪く、消えかかっている箇所もあり、常時公開は無理なのだろう。
法堂の巨大な龍の天井画も狩野探幽。
先日見た、海北友松の雲龍図とは、また違ったタッチであるが、しばし天井に見入ってしまう。

もう一か所ぐらい特別公開文化財を見ようかとも考えたが、お昼を過ぎたので(バスで遠回りをしたため、時間がかかってしまった)、次の目的地・宇治へ向かう。
市営地下鉄北大路駅から京阪線三条駅〜中書島を経て京阪宇治線に乗る。
宇治線の電車のシートが鮮やかな緑色なのは、やっぱり宇治茶のイメージ?

宇治に前々から行きたかったのにはワケがある。
わたしは福岡にいたころから、韓国の詩人・尹東柱の研究会で、彼の作品の読み解きを長らくおこなってきたが、同志社大学在学中の彼が、生前、最後に撮った写真が、宇治川のつり橋の上なのだ。
同志社大学の、女子学生を含む学友たちと、つり橋で写った写真が残されている。
朝鮮の実家にもうすぐ帰省する彼の送別のためのハイキングだったという。
写真に納まっている女子学生はいまでも存命で、何か歌を、というみなの声にこたえて、尹東柱が「アリラン」を歌った、と回想している。
彼はその後、治安維持法違反の容疑で逮捕され、福岡の刑務所で獄死。

京阪宇治駅に降り立ち、橋を渡って宇治川の上流をめざす。
写真に残るつり橋までは、地図で見るとけっこう距離があり、タクシーで行こうかとも考えたが、お天気も良く色鮮やかな新緑を目にして、歩くことにした。
宇治平等院があるので修学旅行生たちが多く、彼らの人波をよけつつ、実は橋を渡ってまもなくのところに、もうひとつ寄ってみたい場所があった。
「花やしき」である。

「花やしき」は、高級旅館・料亭。
お昼ご飯をここで食べてみようかと思ったのだが、ネットで調べるとランチは最低3,000円からなので速攻で却下である(^^;
いや、食事ではない。ここに「山本宣治資料館」があると聞いていたからだ。

フロントに行って、
「山本宣治さんの資料館があると伺ったのですが、見ることはできますか?」とたずねると、
たぶん、ときどきそんな客が来るのだろう、フロントの女性が慣れたそぶりで、資料館を開けますからついてきてください、と鍵を手に歩き出すので、あとに続く・・・・

<山本宣治資料館については、長くなるので、また日を改めて書きます。>

さて、宇治川のほとりを遡上していくと、だんだん風景が変わってくる。
川岸にごつごつした石が見え、谷あいの河、という感じがしてくるのだが、新緑が美しくて、歩いていても疲れを感じない。
想像していた、山の中のものさびしい河原とは違い、若者がハイキングに行くにふさわしい景勝地だ。
まもなく、写真に残る天ヶ瀬つり橋に到着。
尹東柱の最期は悲劇だが、天ヶ瀬つり橋に実際に来てみると、彼の人生にこんな美しく、楽しいひとときがあったのだと知って、少し救われたような気持になった。

宇治駅に戻る途中、せっかく宇治まで来たのだし、と平等院鳳凰堂も見学することにした。
はやくも藤棚に藤の花が満開になっている。
おお、懐かしい。中学の修学旅行でここに来たのだ。
さすれば40年ぶりか。
記憶を引っ張り出したが、鳳凰堂に入り、阿弥陀如来坐像や雲中供養菩薩像を目にして記憶がよみがえってきた。
※画像は宇治川、天ヶ瀬つり橋、平等院鳳凰堂。
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