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2016年06月20日16:33

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本 買うということ 父の教え

私の祖父は読書家で、恐らく1000冊以上本が祖父の家にあった。
小さな図書館だった。

父も読書家で、本をたくさん持っていた。

私は幼いころから本が嫌いで、絵本も嫌いで、漫画も読まなかった。要するに文字がきらいだった。
漫画は10代の頃から読むようになったが、本を読むようになったのは大学に入ってからだ。

大学では教科書や、参考文献を読まなければいけない。
もともと読書は好きではなかったが、好きな学術書や気に入った本はあった。

ある時から本屋を歩いて、いろんなコーナーに行くのが趣味にもなった。


しかし学生はお金はそんなにないので学問に直結する本以外買えなかった。


そんな時、父は言った。
「本は買え。必要な本は借りるのではなく買え。お金がなければ出してやる」
父は、それ以上言わなかったし、私はただありがたかった。
本も親書は安いが、ハードカバーは高い。
ハードカバーが欲しい時は、本屋で序文と終わりと目次を読んで、選んで買った。

読書家ではない私でも、何年も経つと本棚が結構埋まりだした。
最初は、「おお、これだけ読んだのか、偉いえらい」などと自分を褒めて、でもそれだけだった。

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意欲がある時は、ものすごい勢いで本の知識を吸収していく。
しかし、人間はそれを上回るくらいの勢いで、忘れていく。
本を読んで、一年経ったら、1割覚えてたら上出来だ。
それくらいに忘れるが、なんとなくこんなことが書かれていた、くらいは覚えている。

ある時、父はこういった。
「本は手の届くところにあるのが一番良い」

始めはその意味が分からなかった。
この本をもう一度読みたい、と思ったら、図書館で借りればよい、そう思っていた。

けれど、父のこの言葉は重い言葉だった。


ある閃きがあった時、あの知識を吸収したい。きらめきが消えないうちに。
意外と、人間の心は、忘れっぽい。

あれを知りたい、と思っても、本が手に届くところにないと、数時間たつとその思いは消えてしまう。

父が買ってくれた本。
本棚にしまっている本。

ある時、ある瞬間に、あの本を手に取りたい、という風に思う瞬間がある。
そう、今まさにその瞬間、私はその本を必要としているのだ。

閃いた時、悩んだ時、苦しい時、あの本を今読み返したいと、何年も本棚に埃をかぶっている本を思い出す。そこに、その本があると、生活ががらりと変わる。
必要としているのは、本であり、知識であり、書かれている内容であり、今まさに自分が知りたいことである。
それが解決すると、充足感に満たされ、新たな道へと進める。
本が手元にないと、読みたいという熱意は、数時間で焼失し、開ける道も開けなくなる。

父が言いたかったことはきっとこのことだろう。


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本であれば新品中古問わなければ、何でもよい。
最新の本はあまり意味のないものが多いから、あまり買わない。
bookoffで買えば、安く手に入れられる。

仮に新品の本でも、本は何事にも代えがたい、そういう経験をしている。


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妻は獣医で、医学書を読む。
どの程度読むかというと、結構読む。

結婚する前、妻もこつこつと医学書を買っていた。
若い時、給料が安い時に、よく買ったな、と尊敬する。

妻が何故買うようになったのかは分からないが、本を買う大切さは同じ考えを持っている。


来年には、動物病院の開業を目指している。
何かとお金がかかり、果たしてどこまでお金がかかるのか分からないくらいお金がかかる。


でも、妻には医学書を買ってあげたい。
斜め読みしかしなくても、手元にあることが大事なのだから。

娯楽費を削っても、
食費を削っても、
美容院に行くのを我慢しても、


本だけは絶対に買う。




本は人生の道しるべなのだから。








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