12月です。
多少余裕のあるうちに書いておきたいと思います。
北沢郁子歌集『満月』
北沢さんは現在94歳現役歌人最高齢でしょうか。(すごいことです)
「藍」所属で地味な方です。
岡井隆さんも「この人は上手な人ですがあまり人前に出てこない」といわれています。
賞がありません。
「アカシアの雨の止む時」頽廃の詩句を時代のかたみと思ふ
このまま死んでしまいたい…昭和歌謡、下の句がよい。
朝の陽を浴びむとベンチにゐるわれに通勤の人ら会釈をたまふ
「たまふ」の敬語の使い方よし
とうこ・通りすがりに見たベンチに座っている90歳の老婆、この老婆はただの人ではなく、
歌を詠む人だったのです。かっこいいではありませんか!なんか感激します。
ビルマ派遣弓部隊より帰らぬ人 六十八年過ぎたる今も
なぜ「弓部隊」といったか。小池さん知識ご披露に及ぶ。
陸軍の師団名を隠すために師団に漢字一文字の愛称をつけた。
第1師団といわずここでは「弓師団」である。
悲惨なビルマの戦いでした。
眩みて追はるるごとく帰り来し草間弥生の水玉模様
最新の芸術情報も確かめにゆく。
若き看護師に伴はれゆく夜の廊わが身の流離ここに至れり
若き看護師でわが身との対照鮮やか、流離の言葉生きている。
歌一首得たりと思ひ灯をともす初心といへるやすらぎにゐて
90何歳で初心という、深い心。
題詠 ・ 眠る
一本足にねむり確かなフラミンゴ二本足ぶざまねむれぬわたし
*ちょっとおもしろい
フラミンゴは縦で人間は横に寝ているから少々強引である。
でもまあ、一本足、二本足を読めばいいか。
「ぶざま」は言い過ぎ「もちて」ぐらいに。
一本足にねむり確かなフラミンゴ二本足もちてねむれぬわたし
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